前文化庁長官 宮田亮平(10)社会派工芸
「父や兄と違うことを」 失敗作の山を越え受賞、勇気に
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上野動物園のパンダ目当ての見物客が数時間待ちの大行列をなした1972年、私の人生にもさまざまな"事件"が起きた。
東京芸術大学の大学院に在籍中の春、第11回現代工芸美術展に初めて出品した。学部在学中は勉強の時間にあてようと決めており、駆け出しの鍛金作家として力試しのつもりだった。
学園紛争やベトナム戦争に揺れていた当時、芸術の世界でも伝統的なものに反発する機運が盛り上がる。代々の工芸家の家に生ま...

文化庁長官を務めた宮田亮平さんは、イルカのモチーフで知られる金工作家です。新潟県佐渡で祖父の代からつづく伝統工芸の家に生まれ、東京芸術大学で「鍛金(たんきん)」を学びました。アーティストとして活躍するかたわら、東京芸大の学長を長く務め、文化庁長官として東京五輪・パラリンピックにかかわる文化イベントなどでも尽力しました。その創造性あふれる半生を振り返ります。