故・水島新司さん(漫画家) バットをペンに持ちかえて
追想録
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「出刃とバット」という短編がある。代表作となる「ドカベン」や「あぶさん」の連載開始とほぼ同時期、1973年の作品だ。
新潟の鮮魚店に生まれた野球好きの少年。家庭の事情で高校進学を断念するが、白球への未練を捨てきれない。バットと出刃包丁を持ってふるさとを後にし、やがて料理人として成長していく――。
包丁をペンに代えればほぼ自身の半生記である。中学卒業後、家業の合間に描き上げた作品が新人賞を受賞し、...
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