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環境共生 「住まいが変わる」

三菱地所レジデンス 宮島正治社長

環境との共生――。環境保護を基軸に据えた三菱地所レジデンスのマンションづくりが見直されてきた。新型コロナウイルスの感染拡大で、マンションはそのあり方を大きく転換することを求められ始めた。単に眠るだけの場所ではない、快適で効率的、そして「住むことにプライドを持てるマンションづくりが何より重要」と宮島正治社長。デザインや設計はもちろん材料、つくり方まで、環境保護のトップランナーとして人が地球に住まう新しいルールをつくりたいという。

マンションに次代の価値

新型コロナで当初低迷するとみられたマンション市況は予想を覆し活況だ。不動産経済研究所の調査でも2021年の全国新築マンションの1戸あたりの平均発売価格は前年比2.9%値上がりして5115万円。5年連続で過去最高を更新し、初めて5000万円を突破した。市況は堅調だ。

「今から2年前。新型コロナの感染が始まった年はゴールデンウイークでもモデルルームの閉鎖に追い込まれた。『厳しい時代がくる』と覚悟したが蓋を開けたら違った。その後すぐに盛り返し、マンションを求める顧客が増えてきた」

「理由は新型コロナで住まいのあり方が大きく変わったためだ。住まいは、これまでのように『オフタイム』だけでなく『オンタイム』も過ごす場所になった。職場や学校の要素がマンションに入り込んできたため多様なニーズに応える必要がでてきた」

三菱地所レジデンスは広さや快適性、デザイン性の高さといった要素に加え、環境との共生をマンションづくりの基本コンセプトに据えてきた。住み続けることがそのまま地球環境保護に貢献する、そんなマンションづくりにこだわってきた。

「多様化する顧客のニーズに応えるにはこれまでのマンションでは十分ではない。2021年3月に実施した三菱地所のオフィスワーカー調査によると在宅勤務をしている人の45%がダイニングで仕事をしていると言い、全体の35%が現在の住まいに不満を持っていると回答した。こうした層がマンションの購入に動いており、求められる物件の質もこれまでとは変化してきている」

「例えば『ザ・パークハウス新浦安マリンヴィラ(千葉県浦安市)』は新型コロナ前はなかなか購入を決断してもらえなかったバス便物件だが、広さと海に隣接するリゾート立地が好評で人気だ。『ザ・パークハウス川越タワー(埼玉県川越市)』も都心までは少し時間がかかるが、地元の産品を積極的に消費する地産地消のサステナブル(持続可能)な取り組みを盛り込んだことで評価を受け問い合わせが多い」 

「ハード面の充実や経済性は当然、重要だ。ただ、これだけでは十分ではない。もう1つ、環境共生、SDGs(持続可能な開発目標)という要素を柱に据えているのが当社の特徴だ。2008年には環境分野の研究開発を担うメックecoライフ(東京・品川)を設立、太陽光発電をマンションに取り入れるなど他社に先駆けマンションづくりに生かしてきた」

「例えば居住者が使う電気だ。高圧一括受電で安く調達、しかもその電気を非化石証書付きの電気に変えれば二酸化炭素(CO2)削減に貢献できる。『エコノミー』でかつ『エコロジー』、太陽光発電装置を屋上に設置する『ソレッコ』という仕組みも導入しており、経済的で環境にも優しい、そのマンションに住むこと自体が価値になる」

「単に売れればいいわけではない。売った後が大切だ。住むことで『地球環境保護への貢献』ができるマンション。住む人がベネフィットを感じるマンションづくりを当社は目指している」

新型コロナ後も東京の優位性は変わらない。だからこそマンションの品質を上げ、東京という街を進化させていく必要がある。

「今年1月、2030年までにCO2排出量を19年比で50%削減させる方針を表明した。きつい目標値だが、やり切らなければならない」

「断熱性や気密性を高めてエネルギー収支を実質ゼロにする『ゼロ・エネルギー・ハウス』(ZEH=ゼッチ)化や入居後のCO2排出量の可視化などメニューは充実している。そのメニューに沿って、マンションを進化させていかなければならないと考えている」

「見えないところも工夫を凝らす。CO2削減が可能な高炉セメントを採用したコンクリートへの切り替えや、マンションの建設時に使用する型枠コンクリートパネルを持続可能性に配慮した調達コードにある木材(認証材並びに国産材)と同等の木材を使用する取り組みも始めた」

「東京はこれからも進化し続ける。医療や金融、大学など経済活動に不可欠な要素が東京に集中している以上、情報やマネー、人は東京に集まってくる。それが磁力となりまた人を引きつける。その循環は変わらないだろう。だからこそ、それにふさわしいマンションづくりが求められる」

編集後記 ブランド力に磨き たゆまぬ挑戦

中古市場に出てこないマンション――。「それが当社の目指すマンションづくり」と宮島社長は言う。例えば三菱地所レジデンスの展開するマンション上位ブランド「ザ・パークハウス グラン」だ。

確かに「ザ・パークハウス グラン」は立地やデザインで希少性が高く、いったん購入すると、なかなか手放さない人も多い。それが品薄状態を招き結果的にブランド価値を底上げし、価格がまた上がるプラスのスパイラルを生んでいる。

同社が長年こだわってきた「環境共生」というコンセプトはこのスパイラルを加速させることを狙った仕掛けとなる。住むことが、地球環境保護につながり、SDGsにもまた貢献する、うまく軌道に乗れば「ザ・パークハウス」ブランドはさらに強みを増す。

問題は環境配慮型マンションが消費者の行動につながるかどうか。政府の取り組みもあって企業単位での環境保護に向けた取り組みは活発だ。しかし、個人となればどうか。

いつまでもマンション市況の好調さは続かない。宮島社長が指摘する通り、首都圏の新築マンションの価格は6000万円超とバブル期と並び、そろそろ限界点に近づく。

三菱地所レジデンスの挑戦がその限界を突破することになれば、また次の東京の未来が見えてくるはずだ。(前野雅弥)

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