ファナック会長 稲葉善治(30)失敗を糧に
理念は「透明」 世襲考えず 対話重視、閉鎖的イメージ刷新
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父・清右衛門が亡くなったのは2020年10月。95歳の大往生だった。合議制移行に伴い経営から距離を置いていたこともあり、今では直接父と接した従業員も数少ない。会社は大きく変わった。
かつて父は、ファナックがなぜ必要なこと以外開示しないのかを問われると「自分が経営談義をすると自慢話と思われるからだ」と説明していた。そんな創業者の印象が強烈で、閉鎖的な組織という批判を浴びがちだったのだが、この数年で...

工場自動化(FA)やロボット機械で世界ダントツ企業のファナック。創業者である稲葉清右衛門さんを父にもつ稲葉善治さんは、エンジニアを志望しいすゞ自動車に入社、幹部候補生として期待されますが、父の強引な要請でファナックに移籍しました。社長に就任するとワンマン体制を軌道修正し、さらなる飛躍を導きます。独特の企業風土をもつ世界最強のロボット機械メーカーを築いた父子2代の足跡をたどります。