住友林業最高顧問 矢野龍(20)住宅本部長
抜き打ちで展示場を視察 再生計画で東京地区1位に
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僕が専務時代の1998年、住宅の業界誌に販売が低迷を続ける住友林業の体たらくを手ひどく批判されたことがあった。僕は担当外だったがこれを読んで怒りに体が震えるようであった。業界の「負け犬」呼ばわりなのだ。
僕は業界誌を3月の取締役会に持っていって「こんなことを書かれて悔しくないんですか。低迷の理由として1番目に、リーダーシップ不足と書いてある。まずは我々役員が猛反省し、早急に立て直しの対策をたて、...

住友林業で社長、会長を歴任し、最高顧問を務める矢野龍さんは1940年、旧満州(現中国東北部)で生まれました。敗戦で山口県に引き揚げ、自由気ままに育った自然児で、高校も大学の入試も合格点すれすれだったといいます。縁あって公立の北九州大学外国語学部に入学し、実用英語を学んだことで住友林業が初めて募集した海外駐在員枠で採用されました。入社4年目、矢野さんは米シアトルの駐在員として北米大陸の森林地帯をヘリに乗り、水を得た魚のように飛び回ります。もっとも米国住友林業の責任者として2度目のシアトル駐在時には、現地で訴訟の当事者となり、辛酸をなめる経験もしました。大企業の経営者としては異色の道を歩み、人間味あふれる矢野さんが住友林業の未来までをつづった読みどころ十分の連載です。