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「一発撮り」海外でも人気呼ぶ 新しい音楽表現の場に

「一発撮り」の歌唱や演奏を見せるユーチューブチャンネル「THE FIRST TAKE(ザ・ファースト・テイク、TFT)」が、2019年11月の開設から2年余りで登録者数545万人を超え、動画の総再生回数は15億回を突破した。失敗してもやり直しはしない1回きりの演奏というコンセプトは明快で、アジアや南米を中心に海外でも人気を呼んでいる。227カ国・地域の人が視聴し、海外の視聴者は全体の3割を超えるという。

これまで出演したアーティストは延べ120組。2017年発売のシングルのカップリング曲だったDISH//の「猫」が1億6000万回以上再生されて大ヒットするなど、TFTを機にブレイクしたアーティストや楽曲は少なくない。LiSAの「紅蓮華」やYOASOBIの「夜に駆ける」も、TFTで歌ったことでヒットが加速した面がある。

「ユーチューブで面白い音楽番組を作ろう、テレビの生放送と同じ感覚で見てもらえる番組にしようという発想からスタートしました」と清水恵介クリエイティブ・ディレクターは明かす。1回きりの演奏という制限をつけ、生放送と同じ緊張感を生み出した。凝ったセットなど何もない白い壁をバックに歌と演奏だけを聴かせ、4Kで撮影するなど、高音質、高画質を追求した。「ミュージックビデオやライブDVDなどとの差別化を図りました」と清水ディレクターは話す。

動画のコメント欄には日本語以外の書き込みが目立つ。その中でも運営スタッフが「驚くほど海外で受けた曲」として挙げるのは、KANA-BOON(谷口鮪)とネクライトーキー(もっさ)がデュエットした「ないものねだり」だ。普通なら収録し直すような小さな失敗もあるのだが、そのままカメラは回り、当人たちは苦笑いして歌い続ける。そんなところも、人間味があって好感を持たれたのかもしれない。

TFTが成功したのは、実際にパフォーマンスするアーティストたちが「一発撮り」の緊張感を楽しみ、新たな表現活動の場として歓迎していることが大きい。

代表曲「サウダージ」などを歌ったポルノグラフィティの岡野昭仁は「この場、この瞬間でしか生まれない非常に純度の高いものをTFTというフィルターを通して世界の人に届けることができる。最高にやりがいがあり、存分に楽しませてもらいました」と振り返る。

「Shout Baby」などを熱唱した緑黄色社会の長屋晴子は「ライブとも、レコーディングとも、家で一人で歌うのとも違う、唯一の表現の場だと思います。そんな場所で歌うと、何度も歌ってきた曲も、唯一の歌になる気がします」と話す。グローバルな新しい音楽表現の場として、今後もさらに注目を集めそうだ。

(吉田俊宏)

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