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除疫神信仰の広がりを探る 春日大社国宝殿で企画展

コロナ禍を機に、疫病にまつわる信仰が注目されている。その一つ、除疫神「牛頭天王(ごずてんのう)」にスポットを当てる企画展「最強の疫病終息の神」が奈良市の春日大社国宝殿で開催されている。

春日大社の境内の北を流れる水谷(みずや)川の岸辺に摂社、水谷神社が鎮座する。明治以降は素戔嗚命(すさのおのみこと)などを祭神とするが、かつては牛頭天王を祀り、疫病よけの神社として信仰された。水谷川の水は古来、神饌(しんせん)の調理や禊(みそ)ぎに使われ、中世には興福寺の衆徒が強訴に際してこの神社に集い、神水を飲んで結束を固めたという。現存最古の牛頭天王の絵画とされる平安後期の板絵「牛頭天王曼荼羅衝立(まんだらついたて)」が伝わる。

牛頭天王はもとはインド・祇園精舎の守護神で、中国や朝鮮半島を経て日本に伝わるうちに密教や道教などと習合。日本では薬師如来の垂迹(すいじゃく)神などとして拝まれた。鎌倉以前の古い彫像や絵画、信仰の記録を調べると残っているのは奈良と京都の間に集中しており「一帯を拠点とした山林修行僧の信仰の対象となり、春日にも採り入れられたのでは」と国宝殿の松村和歌子・主任学芸員は推察する。

牛頭天王は京都・祇園の八坂神社の祭神としても知られる。由来には諸説あるが、水谷神社は古来「元祇園」と呼ばれ、「祇園へ『御体』を移した」などの平安期の記録が複数残るという。八坂神社本殿については、供え物を置く棚の装飾が一致することから「初期の八坂神社本殿は春日大社の影響を受けた」との建築史学からの所見がある。

企画展では「牛頭天王曼荼羅衝立」をはじめ「古社記」(鎌倉時代)など水谷神社に関する記録や茶道、狂言などの文化を紹介する。12月13日まで。

(竹内義治)

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