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光量子計算機、1年半後にクラウド公開へ 東大やNTT

東京大学の古沢明教授は、光を用いた量子コンピューターの初の実機を1年半後に、クラウドで公開する見通しを明らかにした。米国のグーグルやIBMは超電導方式など他方式の量子コンピューターを開発しているが、それを上回る性能にしたいとしている。

量子コンピューターはスーパーコンピューターにも難しい複雑な計算を高速で解くと期待される次世代の計算機。情報を扱う単位は「量子ビット」と呼ばれ、グーグルなどは極低温に冷やした超電導の回路で計算する技術を開発している。

光量子コンピューターは東大がNTTや理化学研究所と共同開発している。「測定誘起型」と呼ばれる方式で、光ファイバーを通って飛来する光の粒(光子)を量子ビットとして使う。量子ビットを時間軸上に並べて量子計算を行う独自の技術で、将来は装置を大型化することなく計算性能を上げられるという。

東大などは高性能の光量子コンピューター実現につながる光増幅器を開発し、成果を米学術誌「アプライド・フィジックス・レターズ」に6日掲載した。

NTTなどの高度な光通信技術を活用して光量子コンピューターを高速化し、量子計算に加えて通常の計算も今のスパコン以上の性能で実行できる可能性があるという。

クラウドで公開するのはその途中段階の「限定された量子計算が可能なマシン」(古沢氏)と説明している。研究グループは計算時に起こるエラーを訂正する機能を持つ本格的な光量子コンピューターの完成時期を2030年と見込んでいる。

量子コンピューターの開発は米国勢が先行する形で進んできた。IBMは16年にいち早くクラウドでの公開を始め、グーグルは19年に最先端のスパコンで1万年かかる問題を約3分で解き「量子超越」と呼ばれるブレークスルーを達成した。

まだ開発途上だが将来は素材や薬の開発のほか、金融分野の計算や人工知能(AI)の利用に革新をもたらすと期待を集める。日本でも研究が加速しており、理研は国産初となる超電導方式の量子コンピューターの実機を月内に整備する見通しだ。

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