カタールW杯で仕事がしたい 自分を証明するために

ワールドカップ(W杯)カタール大会まで1年を切った。W杯は僕にとって夢であり、自分への評価や悔しさを覆せる場所だと考えている。自分を証明する大会という位置づけだ。
W杯のピッチに立つには日本代表に選ばれる必要がある。W杯で活躍できる選手の集団というのが僕の描く日本代表だ。
初めて日本代表に選ばれたとき、中村俊輔さんや長谷部誠さんなど既に欧州で活躍している選手たちは、経験談ではなく実際のプレーで海外のクラブに所属することの意義を示してくれる存在だった。日本代表として余裕を持ってプレーするには、欧州で日常を過ごすべきだという気持ちが芽生え、日本を出る決意に至った。
移籍先のクラブでの競争は多くの刺激や悔しさを僕に与え、そこに身を投じれば、自然と向上心に火がついた。上には上がある。そういうヤツらに勝たなければ、クラブで試合に出られないのだから当然だ。
2010年のW杯南アフリカ大会後、欧州に渡った同世代の日本の選手たちは僕と同じように厳しい環境の中で世界を肌で感じる日々を送った。だから、日本代表でも「世界で勝つ」ことをいつも意識している集団だったと思う。
中心選手と呼ばれるようになっても若手やチームメートからの刺激は小さくなかった。彼らの向上心は僕の向上心を押し上げた。それは日本代表なら当然の競争だろう。
「もっと俺のほうができる」
チームメートをリスペクトしながらも、そういう気持ちを隠そうともしない選手の集まりだったから、日本代表には向上心、未来への力強さ、「上を目指すんだ」という雰囲気がみなぎっていた。まだ代表に選ばれていない選手たちへの刺激にもなったはずだ。
Jリーグで活躍した選手が日本代表に選ばれ、見たことのない風景を目にして、自分に足りないものを埋めるためにと、次のステージに挑戦する。日本代表はそういう場所でもあった。
日本のために戦うという重みや誇りを背負いながら、もっと成長したいという選手の貪欲さが日本代表を進化させることにつながるんだと思う。
18年のW杯ロシア大会後、僕はカタール大会を目指すことにした。以前は所属クラブで活躍すれば代表に選ばれることを当然のように考えられた。今は僕と代表の距離が遠いことは事実だ。
しかし僕は今、過去にないほど「ワールドカップ、ワールドカップ」と考えている。カタール大会を目指すことで自分を奮い立たせているんだと思う。それは選手としての時間の終わりを意識しているからでもある。
僕はただ日本代表に呼ばれたいわけじゃない。日本代表として、夢であるW杯のピッチに立って、プレーヤーとして仕事をして結果を残したい。
(カルタヘナ所属)

サッカー元日本代表、岡崎慎司選手の連載です。FCカルタヘナでのこと、日本代表への思い、サッカー選手として日々感じていることを綴ったコラムです。