故・斉藤邦彦氏(元駐米大使)幅広い教養、不偏の世界観
追想録
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1980年代半ば、日本と中国の原子力協定を巡る交渉が大詰めを迎えていた。原子力発電所を輸出したい通商産業省(現経済産業省)は締結に前のめり。外務省の方針を話し合う会議が開かれた。
条約局審議官だった斉藤邦彦氏は締結に強く反対した。「この問題にいちばん詳しい担当事務官がダメだと言っています」。事務次官は「だから、その理由は?」といらだったが、答えは同じだった。
丸投げ型だったわけではない。部下が的...
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