村井邦彦 私の履歴書(18)ユーミン「ひこうき雲」
作曲家
[有料会員限定]
1972年から1年がかりで制作したユーミンこと荒井由実のデビューアルバム「ひこうき雲」(73年11月発売)には数々の思い出がある。
話は1、2年ほどさかのぼる。川添象郎(しょうろう)宅の食堂で細野晴臣と出会った。小坂忠もいた。細野は象(しょう)ちゃんのギターを借りて静かにつま弾いていた。僕は数小節聴いただけなのに魂が揺さぶられ、彼の才能にほれ込んでしまった。
「ひこうき雲」の制作に当たって、真っ...

音楽の教科書に採用された「翼をください」や札幌五輪のテーマソング「虹と雪のバラード」をはじめ、「エメラルドの伝説」「夜と朝のあいだに」「或る日突然」「経験」などを作曲した村井邦彦さん。売れっ子作曲家として活動しながら音楽出版社アルファミュージックを設立。高校生だったユーミンこと荒井由実(現在は松任谷由実)さんを皮切りに、赤い鳥やガロを世に送り出します。さらにレコード会社のアルファレコードを旗揚げし、イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)を世界的な成功に導きました。村井さんらが生み出した日本のシティポップは、近年世界的に再評価されています。