W杯へ最後まであがく(岡崎慎司) - 日本経済新聞
/

W杯へ最後まであがく(岡崎慎司)

9月17日、ようやくベルギー1部リーグのシントトロイデンで初ゴールを決めた。8月の移籍加入後から先発出場を続けている。

今回僕はトライアル込みの練習参加を経て、加入にこぎつけた。そういう経験は初めてだったが、今では非常に良い選択だったと感じている。練習で実際にプレーを見た監督が、チームにおける僕の必要性を認めてくれた結果の移籍だからだ。

監督に託されるタスクと僕が感じるこのチームでやるべきこと、できることのギャップが少ない。だから時間をかけずに指揮官の期待に応えられていると思える。チーム成績が改善している手応えもある。

とはいえ、チームメートが僕を知るには時間が必要だと考えていた。それで僕の守備力や運動量などを生かし、チームを助けるプレーにまずは重点を置いた。そうすることで周りとの信頼を築きたいと思ったからだ。ベルギーでの初得点が僕の代名詞といえるダイビングヘッドだったのも印象深い。これからの次の段階ではゴールをより強く意識してプレーするつもりだ。

ワールドカップ(W杯)カタール大会のメンバー発表が11月1日にある。その26人のリストに名前を刻み、本大会で活躍することはこの4年間、ずっと僕のモチベーションだった。

4年前のロシア大会とその直後は故障が癒えてプレーできるようになっても痛みは消えず、コンディションも戻らず、頭を「現役引退」がよぎることもあった。しかし、カタール大会への思いが消えることはなかった。ずっと欧州でプレーすることにこだわっているのもW杯があったからだ。

W杯イヤーとなる今季、ベルギーの1部リーグに所属できた。これでW杯メンバーの候補としての立場は整えられたと思っている(世間でそんなふうに僕のことを見ている人はきっと少ないだろうけれど)。同時に今、僕は非常にコンディションが良い。あれほど悩まされてきた痛みからも解放され、自分らしいプレーができている。

シントトロイデンはリーグで中位に位置する。劣勢になることも少なくない。その中でやるべきことができている。きっとそれはW杯で日本代表を助ける仕事につながると、思うこともある。

ただ、森保ジャパンでの実績は僕にほとんどなく、そういう立場からW杯メンバー入りを果たすには強いインパクトとなる結果が必要だ。要は自分自身にかかっている。11月1日のメンバー発表までベルギーリーグは4試合ある。そこで何を残せるか、何点ゴールを決められるか。とてもシンプルな話なのだ。

これまでの経験を買われての選出ではなく、純粋に「力のある選手」としてカタールの舞台に立つ。そのために最後まであがきたい。

(シントトロイデン所属)

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

満身創意(岡崎慎司)

サッカー元日本代表、岡崎慎司選手の連載です。FCカルタヘナでのこと、日本代表への思い、サッカー選手として日々感じていることを綴ったコラムです。

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン

権限不足のため、フォローできません