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[社説]外部に改革託すアサヒ人事

アサヒグループホールディングス(HD)傘下のアサヒビールの社長に松山一雄専務が16日付で就く。松山氏はP&Gジャパン、サトーHDの社長を経験した。国内での成長が期待できない中、経営改革の継続を「外部」に託す。

生え抜きでないトップの起用が消費財大手で相次ぐ。市場の停滞を打破する手腕が問われる。

アサヒビールの外部からのトップ起用は37年ぶり。前回は厳しい経営状態の立て直しを狙ったメインバンク、住友銀行(当時)からの起用だが、今回は性格が違う。複雑化する個人消費に対応できる経営モデルへの移行が狙いだ。

このためいきなりトップに招いたわけではない。松山氏は2018年に専務として入り、現場との融合を進めながら、無駄な会議を減らした。縦割り型の組織も刷新し、顧客ニーズに即応できる体質に改善していった。

販売面では量の追求から、収益性を確保できる独自商品の開発を加速。この流れを継続するために、松山氏に白羽の矢がたった。

少子高齢化が一段と進み、国内消費は伸び悩む。収益性よりシェアを優先した旧来の量販志向では持続的な成長が見込めない。

今後は乱売に陥らないように、ブランド価値の向上や独自商品の拡充などが不可欠になる。キリンHDもP&G出身の山形光晴氏を常務執行役員に据え、グループ全体のマーケティング戦略を任せている。山形氏は競合他社のすみ分けを重視する横並び経営からの脱却を掲げる。

日本コカ・コーラ社長を務め、のちに資生堂に転じた魚谷雅彦会長兼最高経営責任者(CEO)も風土改革とブランド経営に軸足を置いた。歴史の長い日用品事業を海外の投資ファンドに売却したのも、しがらみのない外部出身者ならではの決断だろう。

組織は内向きになりがちだ。個人消費が多様化する日本経済で生き残るには自社を客観的に評価し、大胆な改革を進めやすい外部型トップが選択肢の一つになる。

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