山梨銘醸、日本酒製造の使用電力全てを水力発電由来に

日本酒「七賢」の製造元の山梨銘醸(山梨県北杜市)は30日、使用電力全てを山梨県企業局が運営する水力発電由来に切り替えたと発表した。二酸化炭素(CO2)排出量を年間約510トン削減する効果があるという。海外輸出を強化する同社は気候変動対策に力を入れ、環境意識の高い欧州市場などでの販売増に結びつける。
水力発電に電源を限定して供給する山梨県と東京電力エナジーパートナーの「ふるさと水力プラン」を年間113万キロワット時の使用電力量枠で契約した。標準的な電気料金に1キロワット時当たり1.02円が加算されるプランで、山梨銘醸は年間115万円の負担増となる。加算分は県の環境施策に活用される。
日本酒の製造工程では発酵温度の管理や冷蔵貯蔵の電化によって多くの電気を使用しているという。山梨銘醸によると、使用電力全てを再生可能エネルギーに転換した日本酒メーカーは全国でも限られている。北原対馬社長は「今後はボイラーの熱源を化石燃料から県が取り組むグリーン水素に切り替えることも検討していく」と話している。

山梨県企業局は県内に27の水力発電所を運営しており、年間4億7000万キロワット時の発電量能力があるという。うち5000万キロワット時をふるさと水力プランの枠に充てていて、すでに全量を山梨銘醸を含む計42社と契約済みという。
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