日医工の事業再生ADR成立 最大985億円の債権放棄
後発薬大手の日医工は28日、私的整理の一つである事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)の手続きが成立したと発表した。同日の債権者会議でADRと事業再生計画案に対し、関係する15の金融機関すべての同意を得た。金融機関側は最大で債権の6割強にあたる985億円を放棄する。
日医工は企業再生ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)と医薬品卸のメディパルホールディングス(HD)の支援を受け、経営再建を進める。2026年3月期の最終損益黒字化と債務超過の解消を目指す。
28日発表した事業再生計画の骨子では、品質保証体制の強化を重要課題に挙げた。主力の富山第一工場(富山県滑川市)で出荷停止中の品目の再開や生産性の改善、不採算品目からの撤退、遊休資産の売却も盛り込んだ。人員などのリストラは予定していないという。
経営再建に向け、JWPとメディパルHDが設立した合同会社ジェイ・エス・ディー(JSD)が200億円の第三者割当増資を引き受ける。日医工は上場廃止となり、JSDの完全子会社として早期再建を目指す。
日医工は品質不正を理由に21年3月に業務停止命令を受け、業績が悪化した。米国でのバイオ医薬品の後発品(バイオシミラー)の開発計画見直しも打撃となり、22年5月に事業再生ADRを申請した。22年9月末には356億円の債務超過に陥った。
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