東洋紡、PCR検査試薬の生産増強 敦賀工場で65億円投資
東洋紡は28日、新型コロナウイルスなどの検出に使うPCR検査試薬とその原料の生産能力を3倍にすると発表した。敦賀バイオ工場(福井県敦賀市)に約65億円を投じ、2024年11月までに新棟を建設する。同社のバイオ分野での投資としては過去最大規模。長引く新型コロナ禍による検査試薬などの需給逼迫を解消するため、増産投資に踏み切る。

記者会見した竹内郁夫社長は「将来、新規の感染症が世界的規模で拡大すると検査試薬の需給逼迫のリスクがある。国内での生産供給体制強化には大きな意義がある」とした。
新型コロナ向けの検査試薬に絞って製造した場合、現在500万~600万回とされる国内1カ月分のPCR検査数をまかなえる月生産量になるという。同社は2030年度までに、PCR検査試薬を含むライフサイエンス事業の売上高を現在の350億円程度から800億円まで引き上げる目標を掲げている。今回の生産増強もその一環だ。
新棟の延べ床面積は新設する研究用試薬棟と遺伝子製造/品質試験棟を合わせ、計約1万平方メートル。23年3月に着工する。コロナ禍による需要増には既存棟内で生産設備を増やして対応してきたが、これ以上の増産は難しく、計画を前倒しして建設を決めた。
竹内社長は同日、福井県庁で福井県の杉本達治知事と面談し「この2年、社会の要請に応えてきた。生産能力を上げれば国内でのサプライチェーン維持ができる」と話した。杉本知事は人材募集などで「ご期待に沿えるようがんばる」とした。

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