/

山形銀行、新頭取に佐藤英司氏 長谷川氏は会長に

山形銀行は28日、取締役会を開き、佐藤英司専務が頭取に昇格する人事を内定したと発表した。2005年6月から頭取を務めてきた長谷川吉茂氏は代表権のある会長に就く。6月23日に開く株主総会にはかる。佐藤氏は地域の課題として少子高齢化や事業承継を挙げ、「コンサルティングを含めた非金融部門の強化が大きな課題であり、使命だ」と語った。

佐藤氏は1964年生まれの58歳。地元の山形東高校から中央大学経済学部に進み、87年4月に山形銀行に入ったたたき上げだ。酒田支店法人営業部長や米沢支店長など全ての営業地区を回り、本部でも営業支援部長などを歴任してきた。頭取内定にあたり、①全行員と顧客との接点を増やし頼りにされる銀行を目指す②地方創生への関わりを深める③人材育成を強化する――などと抱負を述べた。

山形銀行は一時期を除き、長谷川、三浦の両創業家が交互にトップを出すのが慣例だった。長谷川氏は「例外」だった丹羽厚悦氏から頭取のバトンを受け継ぎ、約18年間トップを務めた。住友銀行(現三井住友銀行)時代には安宅産業の処理などに第一線で携わった経験も持つ強いリーダーシップが特徴で、頭取就任後も荘内銀行、きらやか銀行など3行がひしめく金融激戦区でトップ行の地位を守ってきた。

創業家以外への引き継ぎについて、長谷川氏は「世襲は祖父が60年も前に取り入れたもの。それから銀行自体も大きくなり、今はそういう時代ではない。山形県経済のために力を発揮できる人として佐藤氏は適任だ」とした。ただ、行内には創業家出身の三浦新一郎専務(51)、長谷川氏の次女の長谷川泉常務(45)らも育ってきている。

この時期の交代発表となったことについて長谷川氏から明確な説明は無かったが、現在の銀行経営について「問題がないから交代する。(会長になれば)こちらも余裕を持ってサポートできる」とした。ただ、直近の有価証券の含み損は海外金利の上昇などで332億円(22年3月末は90億円の含み益)と膨らんでいる。佐藤氏は「含み損の短期的な解消は難しい。市場環境を見ながら時間をかけて対応していく」としており、今後のかじ取りに注目が集まる。

長谷川氏のもとで、山形銀行は県内でも先駆けて大幅な店舗削減に着手した。21年7月に58あった県内店舗を22年3月までに42店舗にした。各営業地域の核店舗に渉外担当者を集約。広域営業体制を強化し、新たな収益の柱となる事業継承やM&A(合併・買収)支援に効果的に対応できるようにした。

21〜23年度の経営計画では、提携や出資を通じて地域産業への参画を深める「金融・産業参画型ハイブリッドカンパニー」を掲げた。スタートアップへの出資拡大や地域商社の立ち上げなど新領域への事業展開を進めてきた。21年には本店ビルの建て替えにも着手し、25年秋の営業再開に向けて工事が進んでいる。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

地方銀行や信用組合、信用金庫の最新ニュースをまとめました。人口減少が進む地方で経営統合による経営力強化や新規事業、地方企業育成などを進める各金融機関の最新ニュースや解説をお届けします。

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

関連企業・業界

企業:
業界:

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン

権限不足のため、フォローできません