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秋田市中心部で進む再開発 人口減でコンパクトな街へ

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秋田市中心部の活性化に向け再開発事業が進んでいる。秋田県・市連携の文化施設「あきた芸術劇場」は2022年6月開館へ工事のピッチを上げる。民間企業の集合住宅も着工し、24年秋までに約270戸が完成する見通しだ。人口減少や少子高齢化が進むなか、コンパクトな街づくりの重みが増している。

千秋公園のお堀に面した県民会館跡地。8月最後の週末も資材を運ぶトラックが往来した。新型コロナウイルス禍の影響で開館が計画より約3カ月遅れるが、あきた芸術劇場は骨格となる姿が見えてきた。

市の中心市街地活性化基本計画の核となる施設だ。地上6階・地下1階建てで延べ床面積は約2.2万平方メートル。事業費254億円を投じ、2007席の客席を備えた大ホール、中ホールや2つの小ホールを造る。約200台収容の駐車場も設ける。コロナ禍の影響を見通せないものの、市は1日あたり約1000人の利用者を見込む。

民間企業による分譲マンションの工事も始まった。中央警察署の隣接地で不動産のリベレステが地上14階建ての集合住宅を建設する。22年9月末の完成を目指し、2LDK~3LDKのマンション52戸を建設する。

東北地方で分譲マンションを企画・開発するタカラレーベン東北(仙台市)はJR秋田駅近くに地上15階建ての集合住宅を建設する。23年3月末の完成を目指し、83戸を計画している。

同社は千秋公園のお堀に近いビジネスホテル跡地でも集合住宅を建設する。24年秋の完成を目指し、地上20階建ての分譲マンション(133戸)を建設する計画だ。

こうしたマンション建設の呼び水になったのが、JR秋田駅前で20年10月に完成した秋田版CCRC(生涯活躍のまち)の拠点施設「クロッセ秋田」だった。北都銀行などが連携し、駅前のにぎわい復活と元気な高齢者らが生き生きと暮らせる街づくりをめざす施設だ。

地上17階・地下1階建ての同施設は4階までの低層階に金融機関の支店や調剤薬局、クリニックなどが入った。5階以上のマンション全60戸は19年6月の売り出しから3カ月ほどで完売した。5000万円を超える高額物件もあり、約15%が県外からの移住者という。

「クロッセ秋田が予想以上に早く完売したことで、民間事業者は市中心部にマンション需要があると判断したようだ」。日本不動産研究所秋田支所の平野太郎支所長はこう分析する。

商業施設の撤退や居住人口の減少で空洞化した中心部に活気を取り戻そうと、市は官民連携で取り組んできた中心市街地活性化基本計画の成果が出てきたとみる。秋田駅前の商業地は19年の公示地価(1月1日時点)が27年ぶりに上昇に転じ、20年も上昇が続いた。21年はコロナ禍で全国的に地価が下落するなか、同商業地は横ばいだった。

ただ今後、人口減や少子高齢化は一段と進む。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、8月1日時点で約30万2000人の秋田市の人口は45年に約22万6000人にまで減少する。平野支所長は「今後人口が減り、税収も細る。行政はこれまで同様の市民サービスを維持するのは難しい」とみる。

市郊外の外旭川地区で再開発構想があるが、平野氏は今後の開発方針について「コンパクトな街づくりが一段と重要になる。駐車場の問題はあるが、中心市街地に商業施設も含め積極的に誘導する必要がある」と強調する。

(秋田支局長 磯貝守也)

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