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金沢市、公共交通の需要開拓強化 クーポンや割引実験 

金沢市は交通事業者などと連携し、まちなかの公共交通の利用を促す取り組みを強化する。電子乗車券を購入できるウェブアプリで、店舗の情報やクーポンの入手を可能にしたほか、北陸鉄道(金沢市)の鉄道とバスの乗り継ぎ割引の実験なども計画中だ。新型コロナウイルス禍で公共交通の利用者が落ち込むなか、新たな需要開拓を通じて回復を後押しする。

市は次世代移動サービス(MaaS、マース)の環境整備を目指して2021年8月、市内に路線を持つ交通事業者と金沢MaaSコンソーシアムを設立。紙で販売していたフリー乗車券をスマートフォンで購入、利用できるウェブアプリ「のりまっし金沢」を構築した。バスや鉄道のフリー乗車券がどこでも入手できるようになった。

アプリを通じて22年5月下旬、まちなかを中心とした店の情報やお得なクーポンの提供を始めた。スマホで約140の店舗・施設の位置が地図上で分かり、その場で電子乗車券の購入を促す。コンソーシアムには22年、システム会社やコンサルタント会社なども会員に加わった。新しい会員のBIPROGY(ビプロジー、旧日本ユニシス)が各地のMaaS実証の知見を生かしクーポン情報などで連携した。

市は「まちなかへの移動手段として公共交通を使ってもらうのが狙い」(交通政策課)と説明する。市はまちなかの商業施設と連携し、一定額以上の買い物または飲食をした人にバスや鉄道の割引が受けられる「お帰り乗車券」を配る取り組みも始めている。

コンソーシアムは7月、電子乗車券を使った北陸鉄道の石川線とバスとの乗り継ぎ割引の実証実験を始める。同線の鶴来駅(石川県白山市)からバスに乗り換える野町駅(金沢市)を経由し繁華街の香林坊(同)まで往復1400円かかるが、同1000円にする。鉄道の石川線は利用客が少なく存続が危ぶまれている。お得な電子乗車券を体感してもらい、利用者回復につなげる。

北陸鉄道は金沢の観光地をめぐる循環バス「城下まち金沢周遊バス」の利用者拡大を狙い、全国共通の交通系ICカードを利用できるようにすることを計画する。市は導入費用の一部を支援する方針だ。

金沢市が公共交通を重要視するのは、道路空間が限られている事情もある。藩政期から受け継いだ旧城下町のまちなかを中心に道路整備が難しく、車より輸送力が大きい鉄道やバスを利用するほうが効率的だからだ。

コロナの影響で市内のバス利用者は2019年の約3000万人から20年は約2000万人に減少。リモート化など生活様式の変化もあり、回復ペースは鈍い。鉄道も同様の傾向で、持続可能性の確保が課題となっている。

村山卓市長はコンソーシアムの会議で「公共交通は新型コロナで厳しいが、通勤、通学の足として維持しなければならない」と指摘。さらに「乗り換えなどを含めた利便性確保も重要になる」と話した。民間が担ってきた鉄道やバスを行政がどこまで支えるかが課題となっている。

(石黒和宏)

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