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台車ロボで農薬散布 群馬で省人化の実証実験

群馬県内で農薬散布を省人化する実証実験が本格的に始まった。参加するのは、シンクタンクのぐんま農業ビジネス研究所(前橋市)やロボット開発のイーエムアイ・ラボ(長野県富士見町)、群馬の地元農家などだ。遠隔操作で走る台車ロボットで畑に農薬や肥料をまいたりする。人手不足や高齢化が深刻になる農業の効率化や労力の軽減を目指す。

実験はこれらのほか、群馬県高冷地野菜研究センター、同県中之条町などでつくる六合(くに)高冷地農業・スマート化実証コンソーシアム(共同事業体)が実施する。国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)からの委託事業に採択された。2021年度からの2年間で実証プロジェクトを進めている。

7月下旬、中之条町の地元農家である山口農園(山口英義代表)の花豆畑に集まった関係者を前に、台車ロボによる肥料散布作業を実証実験した。台車ロボの後方に取り付けられた箱の中に肥料を入れて、台車ロボが進むと自動的に左右に肥料がまかれる仕組みだ。

リモコン操作で台車ロボを動かしている。山口代表がリモコンを押すと、アーチ状に組まれた支柱に沿って延びている花豆のトンネルの中をゆっくり歩くのと同じくらいのペースで進んでいく。約80メートルの区間を3分程度で終えた。

約1.2ヘクタールの花豆畑での追肥作業は、台車ロボを使えば半日程度ですむ計算だという。従来は20キロの肥料を背負って丸1日かけていた。山口代表は「体への負担を大きく減らせて、作業が楽になる」と話す。作業時間だけでなく作業者の労力も大幅に減らせる。

農業の省人化は急務だ。農林水産省の農業センサスによると、20年の群馬県の総農家数は15年の5万84戸から約16%減の4万2275戸に減少した。ぐんま農業ビジネス研究所の山口憲作代表は「農業従事者が減り、高齢化も進む中で省力化しなければ、新しく農業に携わりたい人は増えていかない」と危機感を示す。

台車ロボの用途は肥料散布だけではない。農薬散布や除草剤散布もできるようになっている。21年度の台車ロボは農薬散布だけだったが、22年度は3役こなせるように改良した。

台車ロボの上に突き出した2本のノズルから吹き出した農薬をファンで拡散しながら散布する。従来、農薬が詰まった重いホースを運ぶ人、農薬をまく人の2人体制で行う重労働で、10アールあたりの農薬散布にかかる時間は約1時間だったという。

21年度の実証実験では台車ロボを使うことで、1人の作業者が同じ面積の農薬散布を約14分で終えた。遠隔で操作できるので、あやまって農薬を浴びる心配もない。山口農園では「作業が楽になるので、従来1回だった散布が2~3回は行える。収穫直前にまけば、虫に食われる実が減らせるので収穫量を増やせそうだ」(山口代表)とみる。

同実証プロジェクトではトウモロコシ畑やキャベツ畑でも別の台車ロボを用いて、鳥獣の追い払いや収穫した野菜の積み込み・搬出作業を実験している。農研機構の大森定夫専門員は「この台車ロボが製品化されれば、他の産地の問題解決にもつながる」と期待を寄せる。(田原悠太郎)

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