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ユーグレナ高速培養、徳島文理大学 ジェット燃料に期待

徳島文理大学理工学部(香川県さぬき市)の研究グループは、微細藻類「ユーグレナ」に特殊な発光ダイオード(LED)光を照射することで持続的に高速培養できる技術を開発した。ユーグレナは健康食品や化粧品の原料として知られているが、新技術でバイオジェット燃料の原料としても期待されている。同大は脱炭素化につながる技術として、今後、企業と組んで試験研究に取り組みたい考えだ。

ユーグレナはミドリムシとも呼ばれる藻類の一種。葉緑体を持ち、光合成で成長する一方、動き回ることもできるなど植物と動物の性質を併せ持つ。今回使った種類は細長い形状のユーグレナで、大きさは0.05ミリメートル程度。

新技術を開発したのはナノ物質工学科の梶山博司教授の研究室で、大学院工学研究科ナノ物質工学専攻の太田健志郎さんが実験で確認した。

培養容器に通常の白色光に加え、赤色から赤外光の特殊なLED光を当てると、ユーグレナが高速増殖モードに移行して盛んに増えることが分かった。従来と比べて細胞数が1.7倍になった。さらに高速増殖モードは特殊な光の照射をやめても持続することが分かり、ユーグレナの細胞数は従来の約2倍に増えた。

梶山教授はレタスやトマトなど様々な農作物に特殊なLED光を照射する研究を進めている。これまでの試験で、生育が促進されたり栄養成分が増えたりすることが分かっており、実用化に取り組んでいた。

今回の技術ではユーグレナも特殊なLED光で刺激するだけで、効率的な大量培養が可能になる可能性を示している。さらに特殊なLED光を照射して効果が持続するモードにしたユーグレナを装置に入れていけば、装置を大型化しても効率よく高速培養することができる。

航空機業界では地球温暖化防止策のため、化石燃料からバイオ燃料に切り替える研究が世界各地で盛んになっている。中でも有望なのはユーグレナの活用で、体内で「パラミロン」という成分を作り出し、これからできる物質がジェット燃料に使えるとして注目されている。ユーグレナは培養時に大量の二酸化炭素を吸収するため、カーボンニュートラルな燃料になる。

ただ現在1リットル当たり1万円とされているコストを数百円まで引き下げることが課題となっている。徳島文理大の新技術によって短期間での培養技術が実用化すれば、燃料の生産コストを低減できる可能性がある。

梶山教授は今後、企業と組んで新技術の商業ベースでの実現可能性を検討したい考えだ。ユーグレナは増えすぎると増殖が限界に達するため、実際に生産プラントにする場合は増殖したユーグレナを早期に収穫するといった工程も必要になるという。

太田さんは今回、LED光の照射実験後、培養容器をそのまま窓際に置いていたところ、ユーグレナの増殖が続いていることに気づいた。偶然の成果で、改めて実験して持続的な増殖モードが存在することを突き止めた。研究成果は今後、学会で発表する予定。また詳細な増殖メカニズムについてはモデル植物を使って遺伝子レベルで解明する研究にも取り組む。(竹内雅人)

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