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複数企業BCP連携、北陸3県で200件 石川は最多

北陸3県で複数の中小企業が連携する形のBCP(事業継続計画)が増えている。国の認定を受けた連携型の計画は2023年2月までの累計で200件と全国の約3割を占める。石川県は107件と全国トップで、計画が災害時に役立った例もある。計画づくりを支援する中小企業基盤整備機構(中小機構)は「お互いに助け合う北陸の土地柄などが影響した」とみている。

「大雪で駐車場が使えない時、助け合うことができた」。トラック運送の北陸貨物運輸(金沢市)の山田実紀秀専務は22年に国から認定された計画の効果を強調する。関連会社の丸福物流サービス(同)と策定したもので、災害時の対応などを盛り込んでいる。

この冬の大雪で、一方の会社の駐車場で雪かきが間に合わないことがあったが、他方の会社の駐車場にトラックを移し、社員らの負担の軽減ができた。平常時も、両社のドライバー同士が道路情報をやり取りするなど利点があるという。

11年の東日本大震災の当時、山田氏は関東地方のトラック会社で勤務していた。燃料不足などで運行に支障が出た経験を生かし、BCPづくりに取り組んだ。災害の影響を減らすため、関連会社を含めた連携型の計画にした。山田専務は「石川県外の同業者とも連携も検討したい。県外での災害時に駐車できる場所などがあればお互いに利点がある」と話す。

国は中小企業の防災や減災の取り組みを支援しようと、19年度から「事業継続力強化計画」として認定を始めた。1社でも複数でも認定が受けられ、国の補助金の優先採択などの利点がある。23年2月までの連携型計画の認定件数は全国で688件。北陸3県の認定は22年3月末より5割増えた。

卸会社を中心に100社以上が集まる金沢市問屋町。協同組合金沢問屋センターと組合員23社との連携型の計画が22年に認定を受けた。近くの川の水害を想定したリスク共有などが計画の柱。趣旨に賛同する組合員がこのほど10社加わった。同センターは「エリアとして防災力を高める。今後、防災訓練などにも取り組たい」としている。

県境をこえた連携計画もある。瓦をリサイクルした舗装材を手がけるエコシステム(石川県能美市)は福井、静岡などにあるリサイクル事業者と計画をつくった。災害時には瓦の受け入れなどで協力しあう予定だ。同社が開発したトラック搭載型のコンクリートプラントを貸し出すことも検討する。

石川県内のテント関連メーカーでつくる石川県テントシート工業組合は富山、福井などの工業組合との計画が認定を受けた。テントシートは災害時の緊急支援物資となり、相互連携を通じて事業継続や早期復旧を後押しする。石川県の組合の呼びかけが計画づくりにつながったという。

中小機構によると、北陸地域は業界団体などを通じて助け合いの意識が強い経営者が多い。同機構はBCP策定を促す中小企業向けセミナーを北陸で頻繁に開催し、計画づくりが広がった。同機構は「計画が災害時の被害軽減に役立った例もあり、今後も計画づくりを支援したい」としている。

(石黒和宏)

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