PCRで感染力の強さ判別 世田谷区・慶大研究者が公表
東京都世田谷区と慶応義塾大学の西原広史教授は28日、新型コロナウイルスを他の人に感染させる可能性のある人を見分ける方法としてPCR検査が活用できるとの研究成果を公表した。陽性か陰性かだけでなく、陽性者の感染力の強さを判別できれば、より効果的な感染防止対策につなげられる可能性がある。

PCRは唾液などに含まれる微量のウイルスの遺伝子を専用の試薬と装置を用いて増幅する検査方法だ。自治体が手掛ける行政検査の場合、増幅させる反応を40回繰り返す。ゲノム医療に詳しい西原氏は「ごく微量のウイルスしか持たない感染者は、陽性と判断されても他人に移す心配はほとんどない」と指摘する。
海外の先行研究では、検出に必要な増幅反応の回数(Ct値)が35を超えるようなケースでは、感染力が弱いことが示されているという。西原氏らは、日常生活の中ではCt値が30以下で検出される検体の持ち主が感染力が強いとみている。西原氏は「検査時にCt値の報告も義務付ければ、隔離が必要な感染者や追跡が必要な濃厚接触者などを絞り込める」と提唱する。
世田谷区が独自に手掛けるPCRで陽性確認された78人分の検体を抽出し、区と西原教授で分析したところ、ウイルス量が多いとみられるCt値25以下の感染者が27人いた。このうち、8割を65歳以上の高齢者が占めたという。

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