東京都、長期戦略「未来の東京」改定 少子化対策など強化

東京都は27日、長期計画「『未来の東京』戦略」の改定版を公表した。急速な少子化の進行や深刻化する気候危機などを踏まえ、政策の方向性と重点施策を改めて取りまとめた。チルドレンファーストの社会実現や、脱炭素化の推進、激甚化する災害への対策強化に重点を置いた。
バージョンアップする政策分野として、「チルドレンファーストの社会」を最初に掲げた。都内の出生数が戦後最低を更新し続け、新型コロナウイルス禍で婚姻件数も急減したことを指摘し「これまでにない大胆な政策展開」を実行するとした。
結婚から妊娠、出産、子育てまで、切れ目のないサポートを展開する。0〜18歳までの子どもに対する月額5千円の給付金の支給や、保育料の無償化、結婚を希望する人へのマッチング支援などを主な施策に挙げた。
脱炭素への転換を図る「グリーントランスフォーメーション(GX)」の世界的な潮流を経済成長の原動力として位置付ける。環境分野のスタートアップ支援や、GXを担う人材育成などを推進する。
災害対策では、気候変動に伴う海面上昇や降水量の増加を見据え、防潮堤のかさ上げを段階的に実施するほか、調節池の整備も前倒しする。
都は2021年3月に同計画を策定。目指すべき40年代の東京の姿をビジョンとして掲げ、実現に向けた戦略と推進プロジェクトを示した。社会環境の変化を踏まえて内容を改定するのは22年2月に続き2回目。都は「時代や状況の変化に弾力的に対応する」としている。
「未来の東京」とは別に、行政のデジタル化を核とする都政改革についても新たな目標を公表した。25年度に9割の行政手続きをデジタル化し、庁内のシステム基盤をクラウド環境に転換する。高度デジタル人材を育成する仕組みを構築するほか、スタートアップとの連携強化や制度改革を推進する部局横断のチームの発足なども掲げた。