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静岡鉄道初の営業赤字 21年3月期、交通や旅行落ち込む

静岡鉄道が26日発表した2021年3月期の連結決算は、最終損益が37億円の赤字(前の期は12億円の黒字)だった。新型コロナウイルス禍で鉄道やバスなどの交通事業とホテル・旅行などのレジャー・サービス事業が落ち込み、営業損益は20億円の赤字(同14億円の黒字)と初めて赤字となった。川井敏行社長は「かつてない経験が相次ぎ、厳しい決算だった」と語った。

前期の売上高は前の期比8%減の1560億円。最終赤字を計上するのは4期ぶりで、赤字幅は04年3月期(50億円の赤字)に次いで2番目に大きかった。本業の収益力を示す営業損益は1978年3月期に連結決算の発表を始めて以来、初めて赤字となった。

レジャー・サービス事業の売り上げは23%減った。旅行子会社の静鉄観光サービスは団体旅行の減少や競争激化を受けて売り上げが急減し、3月末に営業を終えた。7施設あるビジネスホテルはコロナ禍で平均稼働率が4割下がった。

鉄道やバス、タクシーなどの交通事業の売り上げは27%減った。鉄道は企業のテレワークやオンライン授業の広がりで通勤・通学需要が減った。バスは緊急事態宣言後の臨時運休が響いた。

22年3月期の売上高は前期比4%増の1617億円、営業損益は4億3900万円の黒字、最終損益はバス事業への補助金を計上して4億9100万円の黒字を見込む。業績予想は新型コロナワクチン接種が進むことを前提としており、感染の収束状況によっては変動する可能性がある。

 静岡鉄道の川井敏行社長の決算発表会見でのやり取りは以下の通り。
 ――新型コロナ禍で2年目の決算をどう振り返りますか。
 「本当に厳しい決算だった。交通、レジャー・サービスは労働集約型(の事業)で固定費がかかり、それを賄うための売り上げを確保するのが厳しかった。(鉄道事業で)4月の定期券を使う客数は19年度比で9割まで戻っているが、定期外は不要不急の外出自粛により6割強までしか戻っていない。ワクチン接種率が高まれば業績は回復に向かうと思うが、コロナでテレワークなど生活が大きく変わり不確実だ。客がどこまで戻るかを見極めるのは難しい」
 ――不振だった事業をどう立て直しますか。
 「交通事業は老朽化したバス車両を処分し、維持費を削減する。本社部門の社員を営業部門などに配置転換している」
 「ホテルは短期間で増やしてきたが、今後の状況の推移を見守り計画を立てる。建物の賃借料は減免の交渉をしており、何とか収支を改善する」
 ――今期中に注力する事業は何ですか。
 「21年度に重要視している戦略の一つが商業施設『新静岡セノバ』(静岡市)のリニューアルだ。10周年を迎え、食、物販を中心にテナントを大幅に入れ替える方向で調整している。業者の収支の厳しさを肌で感じている。これまで売り上げと賃料でしかテナントとの関係はなかったが、店舗ごとに休業日や営業時間を決めてもらい、働き方の自由度を高めている。賃料の減免だけでなく、働き方までサポートし、テナントから選ばれる商業施設を目指す」

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