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65年間人口が増え続ける「便利な田舎」、神奈川・開成町

点照

神奈川県に人口が65年間増え続けている自治体がある。小田原市の北に隣接する開成町(人口1万8329人)。県西部の自治体の大半は人口減少に悩んでいるが、開成町の2020年国勢調査の人口増加率は県内1位の7.7%で、全国では16位だ。

前回の15年調査からの5年間で町の人口は1316人増加した。世帯数増加率12.4%や人口に占める年少人口(0~14歳)割合14.8%なども県内トップで、若い子育て世代が転入している。

町は1955年、2村が合併して誕生。東西1.7キロ、南北3.8キロ、面積6.5平方キロメートルと県内33自治体の中で最も小さい。転機は85年の小田急小田原線開成駅の開業で交通アクセスの利便性が一気に向上した。

府川裕一町長(65)は「駅誘致のために79年に策定した区画整理事業の都市計画が現在の町の発展と人口増をもらした」と説明する。町は、農地が多い北部、町役場などがある中部、開発区域の南部、と3エリアに分かれる。駅誘致と同時に南部を中心にした区画整理事業を順次進めた結果、住宅地の開発、商業施設や大手企業研究所の誘致などにつながった。

駅周辺のマンション建設が相次ぎ、近隣市町からの転入が増加した。最近は南部での一戸建て住宅の増加が目立つ。それに先立つ形で10年、町内2校目の小学校が開校したことも転入を後押しした。小学校の土地は数十年前に確保されたものという。府川町長は「土地がなければ小学校の新設は難しかった」と話す。

開成町のキーワードは「住みやすさ」。19年から駅が快速急行と急行の停車駅になり、交通アクセスの利便性がさらに向上したことに加え、面積が小さいゆえに駅や学校、商業施設などが住居の近くにあるコンパクトシティ化している。

町はかつて「便利な田舎」とPRしたが、最近は「田舎モダン」と宣伝。若い世代の転入増の背景には、現在の仕事をしながら自然が豊かな環境で子育てをしたいというニーズと合致している面もあるのだろう。

日本の人口は約1億2500万人だが、推計では50年ごろに1億人を割る。人口減は大都市圏以上に地方に深刻な影響をもたらす。人口対策は短期的な政策では解決しない。開成町のケースのように自治体による地道な計画づくりと実行力が欠かせない。

(横浜支局長 仲村宗則)

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