さいたま市、多子世帯へ応援金 23年度予算案は最大規模

さいたま市は27日、2023年度予算案を発表した。一般会計は前年度比5%増の6690億円と8年連続で伸び、過去最大の規模となった。「都市づくり」「魅力づくり」「地域づくり」「市役所づくり」の4つを柱とし、市独自の政策としては多子世帯に向けた子育て応援金の給付事業などを盛り込んだ。
清水勇人市長は同日の記者会見で「30年をピークに人口減少が始まることを想定しながら、それ以降も持続可能な発展が続けられるように積極的にまちづくりに投資していく」と説明した。特別会計などを含む予算案総計でも3%増の1兆1289億円と過去最高額となった。

予算案4本柱の1つ目、「感染症や自然災害に備えた強靱(きょうじん)な都市づくり」では、新型コロナウイルスのワクチン接種体制の確保に117億円を計上した。新型コロナの感染症対策は総額で164億円となる。
政府は5月に新型コロナの感染症法上の分類を5類へ引き下げる方針だが、「あくまで予算は2類相当が継続する前提で組んでいる」(市の担当者)。自宅療養者の相談対応やパルスオキシメーターの配送事業も継続する予定だ。
2つ目の「ポストコロナを見据えたさいたま市の魅力づくり」では、新規事業としてデジタル地域通貨の導入調査に3185万円を盛り込んだ。文化芸術活動の拠点であり現在老朽化のため閉館している「市民会館うらわ」の機能移転には57億円を確保する。JR浦和駅西口前で再開発中の複合ビル内に再整備する。
このほか政令指定都市移行・区制施行20周年を記念し、花火大会の開催も計画する。
「誰一人取り残さない持続可能でインクルーシブな地域づくり」とした3つ目の柱では、市独自の子育て支援策として、23年度から第3子以降が生まれた家庭に1人につき5万円を給付する事業を始める。
清水市長は「新型コロナの影響で出生数が予想以上に減っている。多くの子どもを持ちたいと思っている家庭の後押しができるような施策として活用してもらえれば」と話す。物価高騰に対応して学校・保育所などの給食用食材や高齢者・障害者施設などの事業継続につながる支援策に取り組む。
残る柱の「公民学共創と質の高い市役所づくり」では行政のデジタル化を加速する。キャッシュレス決済ができる施設や窓口をコミュニティー施設などに広げるための費用として1億円を用意する。ペーパーレスを進めるほか、無線LANの導入やテレワーク環境の整備も目指す。
歳入では全体の約4割を占める市税について3%増の2845億円と見込む。人口増加と個人の所得増で個人市民税が伸びるほか、住宅の新増築などで固定資産税も増える。ただ、光熱費高騰などが響いて財政調整基金の繰り入れは2%増える見込みだ。

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