群馬の製造業、金属用3Dプリンター活用 ミシュラン協力

群馬県内の製造業を中心とするグループや日本ミシュランタイヤ(東京・新宿)などは25日、前橋市内で記者会見を開き、7月下旬に一般社団法人「群馬積層造形プラットフォーム」を設立すると発表した。2022年春から活動を本格化する。仏ミシュラングループの金属用3Dプリンターを活用して県内に立地する製造業の競争力向上を目指す。
ミシュランが群馬県太田市に持つ研究開発拠点にグループ企業の金属用3Dプリンターを設置。ミシュラングループが持つノウハウで社団法人に参加する企業の人材を育成し、各社の新分野進出などを後押しする。
社団法人はまず地元の8社で設立予定で県内外から会員を募る。代表理事に就任する共和産業(群馬県高崎市)の鈴木宏子社長は「最終的に知的財産権を共同で保有し、世界に発信する『オープンイノベーション』(企業が外部と連携する技術革新)を目指す」と抱負を述べた。

記者会見に参加した群馬県の鬼形尚道産業経済部長は「群馬県はものづくりで栄えてきた。新時代にあった形で技術や人材を育成していく必要がある。社団法人の立ち上げに大いに期待している」と述べた。
使用する金属用3Dプリンターはミシュランの関連企業であるAddUpの製品。このプリンターは微細な金属粉末の層を重ねて造形するため、今まで難しかった複雑な形の金属部品をつくれるという。自動車や航空・宇宙のほか医療・歯科などの分野でも利用されている。

AddUpはアジアへの事業展開を検討していた。また、ミシュランは太田市への地域貢献を考えていたため今回の事業につながった。日本ミシュランタイヤの須藤元社長は記者会見で「産官学から仲間を募り、未来の創造を群馬から実現したい」と語った。

今回の「プラットフォーム」設立を巡っては、日本貿易振興機構(ジェトロ)群馬貿易情報センターが2年前からミシュラングループと地元との橋渡しを行うなど支援してきた。柴原友範所長は「地域の小中高生などに次世代技術へ触れる機会を提供するという地元貢献も考えている。新技術に精通した人材が増えれば、新しいイノベーションの創出につながる」と期待を語った。