岡山城がリニューアルオープン 歴史を伝え、集う城に

岡山城(岡山市)が「令和の大改修」を経て3日リニューアルオープンした。岡山市出身の歴史家・磯田道史氏の監修で映像や体験型展示を充実させ、多目的フロアを広げるなど夜間1棟貸しの機能を高めた。「歴史を伝える城、集う城」として2019年度に34万人だった集客者数は1.3倍以上を見込む。

3日朝のオープニングセレモニーで磯田氏は「大人から子どもまで楽しく体験しながら専門知識を学べる。周囲のほかの城の展示のモデルになるものにしたいと奮闘した」と話した。オープン前から子ども連れなど多くの観光客が集まり、式典が終わると続々と入場していった。

今回の改修について着目点は3つあると大森雅夫市長は強調する。1つ目は先人たちの偉業を伝えることだ。中でも岡山のまちづくりを始めた戦国武将、宇喜多直家と秀家父子は敗れた西軍側だったため歴史的に必ずしも評価されてこなかった。4階フロアではパネル展示などで宇喜多親子の物語を伝える。
2つ目は武将を支えた女性の存在だ。「直家公は家臣団が分裂しておらず、異母兄弟とも仲良くやっていた。これは女性がいないとできない」とみる。直家の妻「おふく」、秀家の妻「豪姫」、池田光政の妻「勝姫」の肖像画を新たに制作し、パネル展示に登場する。岡山のまちの成り立ちを伝える5階のプロジェクションマッピングも彼女らの語りで進む。
3つ目は18年に始めた天守閣の夜間1棟貸し機能の強化だ。改修で1階の多目的スペースを従来の2倍に広げ、着座で100人を収容できるようにした。映像や資料を投影する設備も導入し利便性を高めた。12月1日からの貸し出しはすでに学会後の懇親会などの予約が入り始めている。
岡山城は隣接する岡山後楽園とともに、岡山を代表する名所だ。「岡山城はかつて国宝だったが空襲で焼けてしまい、文化財としての価値は高くない。それだけに偉人に光を当てて岡山のルーツを伝える場にするなど、機能を高めていきたい」と大森市長は話す。「展示替えなどこの後もおもしろいと思う。このお城をみんなで育てていってほしい」(磯田氏)と変化も楽しめそうだ。