ダム制限のリニア水戻し案 静岡知事「工事に関係ない」

静岡県の川勝平太知事は25日の記者会見で、リニア中央新幹線の静岡工区未着工問題を巡り、田代ダムの取水制限で大井川に水を戻すJR東海の新案に関し「田代の水はリニアと関係がない。これを戻すからトンネル工事をしてもよいとはならない」との考えを示した。実態を把握するため、田代ダムを近く視察する考えも明らかにした。
JR東海は県が4月に開いたリニア問題の検討会議で、トンネル工事により大井川流域から流出する水量を補う2つの案を提示した。一つは東京電力と調整し工事期間中、近くの田代ダムの取水を抑え大井川の水量を確保する方策で、もう一つは流出する水量を計測し工事後に山梨県側から供給する案だ。
川勝知事は田代ダムから戻す水が、トンネル工事により流出する湧水でない課題を指摘。案が実現してもリニアの県内着工を認めず、田代ダムの取水制限は「JR東海からの地域貢献の一つ(として捉えたい)」との認識を示した。
26日には自民党政務調査会の特別委員会にオンラインで出席し、リニア工事の課題を説明する意向も示した。6月には中部地方の知事会合に合わせ、車両基地が置かれる岐阜県中津川市の市長を訪ね、静岡県の立場などを説明するという。