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銘建工業、木質建材「CLT」増産 SDGs追い風

脱炭素やSDGs(持続可能な開発目標)への関心が高まるなか、強度を高めた新木質建材CLT(直交集成板)を建築物に使う動きが目立ち始めた。マンションやオフィスビルなど向けや東アジアからの引き合いが増え、国内シェア4割超の銘建工業(岡山県真庭市)は2022年の生産量を9000立方メートルと前年比約6割増やす計画だ。

CLTは木材を縦横に積み重ねて接着、強度を高めた建材で、鉄骨などに比べて軽く、輸送コストも低い。耐震性、耐火性の高さも実証されてきた。SDGs志向の高まりで木材のもつ二酸化炭素(CO2)削減や省エネルギーなど環境負荷の低さを糸口に、普及は難しいとみられていた中・高層建築でも計画が広がってきた。

銘建工業の中島浩一郎社長はCLTが欧州で中・高層建築に多用されているのにいち早く着眼。11年から生産を始めた。12年には普及団体の日本CLT協会を設立して会長を務めながら、スギなど国産材の活用を提唱。16年には年間生産能力3万立方メートルの自社CLT工場を稼働させた。

柱や梁(はり)用としてCLTと組み合わせて利用されることの多い集成材についても、21年に約7億円を投じ新生産ラインを稼働。機械化で1.5メートル角、長さ14メートルの大型材も最短10日で届けられるという。

ここ数年のCLT生産量は年産5000~6000立方メートルにとどまっていたが、足元で引き合いが増え、中島浩一郎社長は「数年後にはフル稼働させたい」と大幅増産に意欲をみせる。23年には工場周辺に大型倉庫建設も計画している。

後押ししたのは、CLTなど木材を大量に使用する中・高層のマンションやオフィスビル計画が首都圏を中心に増えてきたことだ。その筆頭は東京・日本橋で三井不動産と竹中工務店が25年竣工を計画中の木造賃貸オフィスビル。地上17階建て、高さ約70メートル、現代の「国内最大・最高層」木造建築をうたう。

「戸建て住宅でも業界の関心は確実に高まっている」と地元の住宅メーカー、ライフデザイン・カバヤ(岡山市)の担当者はいう。同社が技術の共有を目的に立ち上げたフランチャイズネットワーク「日本CLT技術研究所」への加盟は20年で11社だったが現在は35社まで増加。3月には40社に達する見込み。

「一般物件より価格が高く現段階では売り込みにくいが、業界内での周知から消費者対応に力点を移し、SDGs、サステナブル(持続性)貢献の特性をPRしたい」(同社)という。

銘建工業は輸出の拡大も目指す。国連食糧農業機関(FAO)の報告によると、世界のCLT生産能力は20年段階で推計280万立方メートル。構成比は欧州48%、北米43%でアジアは3%にとどまる。「国内やアジアはまだまだ伸びしろはある」と銘建工業の中島社長は話す。

同社は18年の台湾向けを皮切りにスギやヒノキのCLT出荷を進め、21年12月には韓国・済州島向け輸出を始めた。まず高級住宅向けなどに計600立方メートルの予定だ。22年は海外向け全体で2500立方メートルを見込む。生産で先行する欧州に比べ納期や対応面で優位とみて攻勢をかけている。

(田村雅弘)

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