ローランドDG、環境配慮型プリンター 先進国市場開拓 - 日本経済新聞
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ローランドDG、環境配慮型プリンター 先進国市場開拓

業務用プリンターメーカーのローランドディージー(DG)は、環境配慮型インクジェットプリンターに参入した。水性レジンインクと呼ぶ特殊なインクを使う製品を開発、26日に発売した。溶剤インクと比べ環境への負荷が小さい上、色鮮やかで広告・看板をはじめ幅広い用途に対応する。環境意識の高い欧米市場に売り込み、国内でも普及に取り組む。

レジンプリンター「AP-640」(239万8000円)を発売した。幅1.6メートルまでの印刷面に対応する大型プリンターだ。水性顔料インクに樹脂を混ぜるレジンインクを同社では初めて採用した。

最大の特長は環境負荷の小ささだ。屋内外の看板製作などで一般的な溶剤プリンターは油性の溶剤を使い、人体や環境に有害とされるVOC(揮発性有機化合物)が空気中に飛散したり印刷物に一部残ったりする。レジンインクはVOCの含有量が少なく溶剤のような臭気も気にならない。欧米の環境基準を満たしているとして認証済みだ。

開発を主導したDP事業部の馬場亮プロデューサーは「溶剤のデメリットを補うプリンターだ」と説明する。溶剤よりも速乾性がありラミネートなど印刷後の2次加工がしやすい。その上、紙や塩ビ、フィルムなど多様な素材に印刷できるため用途は幅広い。広告・看板以外にも壁紙や内装などへの利用を見込む。

田部耕平社長は「将来を見据えて攻めの手を打った」と強調する。世界的に環境意識が高まるなか、プリンターメーカーにも環境負荷の低減が求められる。特に欧米市場では「顧客の意識も変化している」(馬場氏)。溶剤プリンターより高額だが市場性が見込めるといい、まずは欧米を中心に売り込む。

国内では溶剤や紫外線を当てると固まるUVインクを使うプリンターが当面まだ主流であり続けるという。レジンプリンターも展示会でアピールするなど普及拡大に取り組む。AP-640は今後3年間で国内外で1400台の販売を目指す。

業界ではセイコーエプソンなど数社がレジン系のインクを使うプリンターを手掛ける。競争が厳しいなか、馬場氏は「溶剤とほとんど変わらない鮮やかな発色をアピールしたい」と話す。「価格競争力も高いと考えている」

併せて、機能や価格帯の異なる5種類のUVプリンター「LG-300」「LG-540」「LG-640」「MG-300」「MG-640」を発売した。いずれも業務用プリンターの主力「TrueVIS(トゥルービズ)」シリーズだ。「今主流の一つであるUVプリンターも拡充し、幅広いニーズに対応する」(田部社長)

プリンターやインクを含む「ビジュアルコミュニケーション」セグメントの売上高は2022年12月期に前の期比17%増の237億円を見込む。グループ売上高の46%を占める主力事業となっており、23年12月期には252億円を目指す。

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