生活の質向上に向けた交通計画を 両備Gの研究所

両備グループのシンクタンク、地域公共交通総合研究所(岡山市)は24日、欧州連合(EU)の都市交通計画の指針「SUMP」(Sustainable Urban Mobility Plan)を紹介する記者会見を開いた。SUMPは健康や環境、経済の活力、社会的公平性といった生活の質にかかわる幅広い視点から交通のあり方を考え、住民をあげて交通手段分担率などの目標を定めて政策を進める。日本語訳を出版し普及を図る。
SUMPは2013年に作られ、19年に第2版が公表された。欧州では約1300のエリアでSUMPにもとづく都市交通計画が作られているという。例えばウィーンでは自動車の分担率を減らす目標を定め、徒歩や自転車、公共交通の利用を高めている。
研究所は関西大学の宇都宮浄人教授と、ウィーン工科大学の柴山多佳児上席研究員の監修で日本語訳し、本の販売も始めた。すでに富山県の地域交通戦略会議の議論で取り上げられている。
研究所の小嶋光信理事長は「地方公共交通は黒字化しない。民間任せでなく国、自治体、市民も協力するヨーロッパ型の考え方をうまく取り込んでいく必要がある」と意義を説明。宇都宮教授は「SUMPはよそ事ではなく我々が目指すべきことだ」と強調した。