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DXで過疎地に活気 愛媛・鬼北で伊予銀行とドコモ支援

人口減少で過疎化が進む愛媛県鬼北町でデジタル技術を活用した地域づくりが始まろうとしている。同町は伊予銀行やNTTドコモと連携協定を結び、高速通信規格「5G」の活用を進める。予土線・近永駅を中心に、人口の4割以上が居住する近永地区で最新の通信環境を整えて、過疎地域ならではのスマートシティーを模索する。

まず今春に近永駅近くの愛媛県立北宇和高校の屋上に地域限定の「ローカル5G」を整備する。同校には農業を学べる科があり、スマート農業の学習にも生かすほか、普通科でも起業について学ぶ授業などで他校との違いを出す。地元企業と連携してドローン(小型無人機)を使ったカリキュラムの導入も検討する。

近永駅近くの空き家を改修してサテライトオフィスも設ける。高校に整備するローカル5Gを使えるようにするなど通信環境を整えてUターン人材を呼び込む。事業者の公募を始め、今春にも運営を始める計画だ。専門スキルを持つ副業人材として地元企業や農家で働いてもらい、地元企業の活性化や担い手の確保にも期待する。

「過疎化が進む町の活性化に手を打ちたい」。2020年末、兵頭誠亀・鬼北町長から伊予銀グループに相談があった。20年夏に鬼北町の人口は1万人を切り、2060年に4509人まで減少するとの推計もある。このままでは町の存続が危ぶまれるとの声が出ていた。

そこで目を付けたのが北宇和高と近永駅を核にした地域づくりだった。北宇和高が分校や廃校になれば近永駅の利用者は落ち込んで中心部の空洞化が進み、町全体の過疎化が加速する懸念もある。全国募集している北宇和高の魅力を高めて、入学希望者を呼び込み若者の関係人口を増やす狙いだ。近永駅近くのサテライトオフィスは卒業後も町内で活動できる受け皿にもなる。

一方、高齢化率が45%を超え全国平均を大きく上回る同町では、スマートフォンの普及率が低い高齢者の支援も欠かせない。同町はスマホを活用した高齢者向け施策をそろえ、NTTドコモのスマホ教室などと組み合わせて高齢者のスマホ利用を促す。

例えば、22年1月からビデオ通話で健康相談を受けるシステムを試験導入した。対面せずに、顔色などを見て詳しく診断でき患者の安心感につなげる。愛媛県内では感染力が強いとされる新型コロナウイルス変異型「オミクロン型」の感染が広がっており、濃厚接触者など感染が疑われる患者のオンライン相談窓口として活用する。

NTTドコモの「健康マイレージ」の導入も視野に入れる。スマホで計った歩数を基にポイントを付与するなど、適度な運動を促す機能を検討する。離れて暮らす家族がスマホからの情報を通じて町で暮らす高齢者の様子を見守ることもできる。

鬼北町の地域づくりでは、伊予銀行グループが地元企業との連携や事業の運営を支援して、NTTドコモがデジタル人材の派遣などでDXの推進を支える。鬼北町は22年度上半期中に町のDX戦略の公表を計画する。デジタル技術を生かした施策で町の新たな強みを打ち出すとともに、既存の産業との相乗効果を生む取り組みも求められる。

(菅野気宇)

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