日銀、東北の3月判断据え置き 「賃金上昇がカギ握る」

日銀仙台支店は23日、東北6県の3月の景気判断を「一部に弱さがみられるものの、基調としては緩やかに持ち直している」とし、11カ月ぶりに下方修正した2月の判断を据え置いた。
すべての項目で判断を据え置いた。日銀仙台支店の竹内淳支店長は「外需と内需の綱引きが続いている。踏みとどまるためには賃金上昇がカギを握る」とした。大手企業を中心に満額回答や早期妥結が相次ぐ2023年の春季労使交渉が中小企業の賃金動向にどう影響するかに注目しているという。
生産については、電子部品・デバイスが弱含んでいる。車載用の電子部品は堅調だが、世界規模でスマートフォンやパソコンの需要が減少し、フラッシュメモリーなど先端部品が振るわない。
個人消費については新型コロナウイルスの感染が落ち着き、ペントアップ(先送り)需要が堅調だ。入学式、卒業式向けの衣料などが好調で、「2月以降、想定していたより少し良い方向に振れており、物価上昇の中で比較的よく持ちこたえている」(竹内支店長)。インバウンド(訪日外国人)関連では、入国者数はコロナ前の水準には戻っていないが、1人当たりの消費額が上昇している。一部の百貨店では「高級時計などが売れており、免税品の売り上げがコロナ前の水準を上回っている」(同)との声も聞かれたという。
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