日揮、福島・浪江でグリーンアンモニア製造 国内初

日揮ホールディングス(HD)は22日、再生可能エネルギー由来のグリーンアンモニアを製造する実証事業を福島県浪江町で始めると発表した。太陽光で生み出す電力で水を電気分解してつくる水素を原料にする。10月ごろにプラント建設を始め、2024年度中の運転開始を目指す。
同社によると、グリーンアンモニアの製造拠点設置は国内で初めて。実証は26年度末まで続け、27年度以降により大規模な実証プラントの建設を計画する。アンモニア製造の低炭素化につなげる。
浪江町沿岸部の産業団地内の約9000平方メートルの敷地にプラントを建設する。隣接する福島水素エネルギー研究フィールド(同町)は太陽光パネルで生み出す電気を使い、旭化成のアルカリ水電解装置で水素を製造している。日揮のプラントはこの水素を使い、日量4トンのアンモニアをつくる。
実証では、日照時間などに左右される太陽光発電電力を使いながらも、プラントを安定・効率的に稼働させるシステム構築を目指す。気象予測のデータも活用し、適正なプラントの規模などを見極める。
肥料用途で普及しているアンモニアは水素と比べ、サプライチェーン(供給網)が確立しており、輸送コストも低いとされる。今回の実証で製造したアンモニアは、大気汚染を防ぐ脱硝用途で火力発電所などへの供給を検討している。
旭化成の水電解装置開発などを含む一連の実証事業に約750億円を投じる。このうち最大で約540億円について、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金の助成で賄う。

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