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栃木のタクシーに新風吹くか 「東野」を福岡の同業買収

栃木県のタクシー業界に変化の風が吹こうとしている。宇都宮市が地盤の東野タクシー(宇都宮市)を、異色の経営を展開する同業の西日本通商ネクスト(福岡県久留米市)が買収した。高齢化や人手不足といった課題を抱える地方のタクシー業界は変われるのか。西日本通商の手腕が試される。

東野タクシーは1965年創設、従業員規模30人弱のタクシー会社だ。堀川典子社長は売却した理由について「慢性的にドライバーが不足していた」という。背景にあるのは従業員の高齢化だ。同社の平均年齢は約65歳。「新しい人材を採用しないと10年後には75歳。それでは事業の存続さえ危うい」(堀川社長)と危機感を募らせていた。

西日本通商ネクストは福岡県久留米市を地盤にタクシー会社を経営。新卒採用や業務改革に力を入れていることを評価し、事業譲渡を決めた。

西日本通商は2018年秋から大卒の新卒採用を始め、初年度は1人、20年度は0人と振るわなかったが、3年目の21年度には7人採用、徐々に実を結びつつある。「中途採用でもインターネットの活用やイベントに出展するなど方法を変え、いまでは30、40代のドライバーが中心」(木下和政社長)と効果を実感している。

採用手法を変えただけではない。タクシー事業の他に携帯電話販売の代理店業務や不動産開発や賃貸業など事業を多角化。採用した社員にドライバー以外のキャリアを用意したことで、経験の幅を広げられることを売りにしている。

異例の遠距離M&A(合併・買収)について、木下社長は「オンラインでつながれる現代、この程度の距離は問題にならない」と自信を見せる。経営幹部として人材を3人送り込むが「オンラインで随時情報は共有できる」という。宇都宮と久留米との人事交流や、宇都宮での事業拡大も視野に入れている。

タクシードライバーの高齢化は栃木県が抱える課題だ。県内のドライバーの平均年齢は63歳で、50歳未満は1割強にとどまる。この1年間でドライバー数は約140人減り、新しい担い手を迎え入れられる環境を早く整えなければ業界全体が衰退してしまうという懸念もある。

栃木県タクシー協会の鉢村敏雄専務理事は「長距離のタクシー利用者が多かった時代は歩合制の方がドライバーの手取りが増えたが、いまは環境がちがう。若い世代が安心して働けるよう労働条件を改善していく必要がある」と指摘する。

エリア内の移動の便利さは観光や移住などで人を呼び込むための重要な要素。タクシー業界もその一翼を担っている。「採用した人材のポストを用意できない中小タクシー会社に新卒採用は難しい」(業界幹部)という常識を超えられるか。西日本通商の取り組みが注目を集めそうだ。

(宇都宮支局 桜井豪)

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