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花の舞酒造、ノンアル飲料に参入 健康志向や若者に的

コロナ禍に挑む

高温多湿の環境で麹の発育を促進する

清酒メーカー、花の舞酒造(浜松市)がノンアルコール飲料に参入する。日本酒用の米麹(こうじ)を使ったアルコールを含まない甘酒「花の舞 あまさけ」を開発。24日に発売する。米由来のやさしい甘さを出し、場面を問わず楽しめるようにした。コロナ禍で業務用の日本酒が振るわないなか、健康志向の人や若者にアピールし収益を下支えする。

あまさけは同社初のノンアルコール飲料だ。静岡県産米から作った米麹を水につけ、発酵を促す酵母を加えずに仕上げた。花の舞酒造が米麹を製造し、飲料メーカーの白州屋まめ吉(山梨県北杜市)につけ込みやパッケージ化を委託した。米麹は基本的に主力商品の純米酒などに使うものを採用。精米歩合は60%とした。

酒かすから作る甘酒はアルコールをわずかに含む場合があるが、あまさけは米麹のみ使うためアルコール度数は0%。添加物は使わない。まろやかな甘みに仕上げ、エネルギー源となるブドウ糖を含むため夏バテ対策にもなるという。食事との相性もよく「栄養ドリンク感覚で朝に1本飲んでもいい」(同社)。

高田謙之丞社長は「花の舞の新しい魅力を広げたい」と意気込む。若い女性を中心に、幅広い層にアピールする。プラスチックボトル入りで、価格は160グラムで197円。全国のスーパーや酒販店で販売する。まずは6000本を売り出し、好調なら追加で市場に投入する。

冷やしても温めても楽しめるという

日本酒の市場環境は厳しい状況が続いている。近年は飲酒人口の減少に加え、酎ハイやハイボール、果実酒などに押されて消費量が減っている。国税庁の調べによると、2019年の日本酒の国内出荷量は前年比6%減の約46万キロリットル。ピークだった1970年ごろと比べると3分の1以下にまで落ち込んだ。

コロナ禍も追い打ちをかけた。飲食店など業務用が低迷し、花の舞酒造の2020年9月期の売上高は約9億円と、コロナ感染拡大前の19年9月期と比べて20%以上減った。東京都での売り上げが全体の2割ほどを占めるため、緊急事態宣言下の飲食店の休業や時短営業の影響を大きく受けた。

こうした状況の打開策として期待するのがノンアルコール飲料だ。サントリーホールディングスが20年夏に実施した調査によると、ノンアルコールビールなどノンアルコール飲料の市場は19年に前年比2%増の約28万キロリットルとなり、20年も成長を見込んだ。商品数の増加や品質の向上により人気を集める。コロナ禍での健康意識の高まりもあって需要が堅調だという。

「成長の見込める分野を開拓して減収を補いたい」(高田社長)。構想自体は5年ほど前からあったが「アルコールを含まない食品は衛生基準が特に厳しく、クリーンルームなどの設備投資が必要になるためハードルが高かった」。ノンアルコール飲料製造のノウハウや設備を持つ白州屋まめ吉と提携したことでようやく実現した。

花の舞酒造は1864年創業の老舗で、生産量は年間約1000キロリットル(一升瓶55万本)と静岡県内で首位だ。

近年は果物の香りをつけた低アルコールの微発泡酒や、ワインの酵母で仕込んだ日本酒など、新機軸の商品開発を進めている。あまさけも新たにラインアップに加わる。こうした商品で若い世代などの消費者層に間口を広げ、日本酒の販売にもつなげられると期待する。ノンアルコール飲料は今後さらに開拓していく考えだ。

(北戸明良)

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