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栃木の工業団地、LINEグループでBCP 企業の枠超え

栃木県足利市にある足利東部工業団地は10月、企業の枠を超えた事業継続計画(BCP)を策定した。2019年の台風19号で大きな被害を受け、早期復旧に向けた枠組みづくりを進めた。同団地の入居企業は規模も様々で、業種も異なる。対話アプリ「LINE」を使った情報共有を中心に、日ごろからの協力体制がカギになる。

BCP策定には日本生産性本部と商工中金が協力した。策定に携わった日本生産性本部の小林俊介主任経営コンサルタントは「同業同士の工業団地なら相互に設備を融通しながら生産復旧できるが、ここではむずかしい」と話す。東部工業団地ではプレス板金、金型、プラスチック加工と多岐にわたり、製造設備の共有がしにくい。

企業規模の違いも大きい。大手の子会社もあれば、中小企業も多くある。エリアによって海抜も異なり「台風19号では50センチの高さまで浸水した会社もあれば、2メートルに及んだところもあった」(組合専務理事を務める、板橋製作所の板橋毅社長)という。

板橋製作所では台風が去ったあとの清掃作業で人手が足りず、社員食堂やトイレも使えなくなった。ただ「他の団地も同じく困っていると思い、助けを求めることはできなかった」(板橋社長)という。後日その話を団地内の他の経営者にしたところ「うちに来れば食堂もトイレも貸せた」と言われた。

このため同団地のBCPが重視するのは、こまめな情報共有だ。企業の枠を超えたBCPを機能させるには、普段から連絡を取り合い、有事に助け合いができる関係を構築することが欠かせない。

「LINE」を使った情報共有の仕組みはこの一環だ。組合員企業11社がLINE上でグループをつくり、自社の被災状況や漏電などの2次被害を伝達し合う。被災後、事業再開までの片付けや清掃といった基本的な作業や工事業者の紹介などで協力する。

BCPではサプライチェーンや生産拠点の見直しによるリスク分散に目が向きがち。しかし同団地が台風19号から得たのは、工場を動かす前の復旧作業で人や電源、トイレなどを融通し合える関係がまず重要になるということだった。

重機一つでも、あるのとないのとでは復旧のスピードは変わる。各社がもつ資機材や人材が限られる中小企業だからこそ支え合いが「命綱」になる場合もある。

グループLINEでは足利市とも連携し、団地近くにある河川の水門管理に関する情報も逐次共有することを確認した。今後、団地内だけでなく近隣住民とも連携して避難所などを提供できる体制をつくることも想定している。「向こう三軒両隣」との関係構築が改めて見直されている。

(宇都宮支局 桜井豪)

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