都市特性ランキング、千代田区が4年連続首位 東京23区
森ビル系のシンクタンク、森記念財団都市戦略研究所(東京・港)は24日、経済や住みやすさなど都市を多角的に分析・調査した「日本の都市特性評価」の2021年版をまとめた。東京23区のランキング評価は千代田が4年連続で1位だった。前回より評価を高めた区では環境分野でスコアを伸ばすケースが目立った。

調査は18年から年1回実施し、今回が4回目となる。地域の経済力や観光資源の多さ、医療・福祉の充実などを政府の統計やアンケート調査をもとに分析し、「経済・ビジネス」「生活・居住」など6分野でスコアを算出して順位付けした。データ収集は21年1~3月に実施した。国勢調査や経済センサスなど一部に新型コロナウイルス流行前のデータが含まれている。
千代田は6分野のうち経済・ビジネス、生活・居住、交通・アクセスの3分野でスコアが最も高かった。大企業と官公庁の集積、東京駅をはじめとする交通利便性の高さに加え、待機児童が少ないことなど子育て環境が整っていることが評価された。
2位の港は研究・開発と文化・交流の2分野で首位だった。研究・開発は前回は文京に次ぐ2位だったが、区内のグローバルニッチトップ企業数のほか特許取得数や論文投稿数が多く、スコアを伸ばした。3位は中央で、街の清潔さや都内では高い合計特殊出生率、経済の強さなど様々な分野でバランスよく高い評価を得た。

上位10区をみると、4位の渋谷と8位の品川、10位の目黒が一つずつ順位を上げた。渋谷と品川はいずれも環境分野で評価を上げた。緑が多い公園や街路樹の有無などで測る身の回りの自然環境への満足度や昼間人口に対する二酸化炭素排出量の少なさで強さを見せた。
加えて、渋谷はイベントホールの座席数の多さから文化・交流分野で、品川は要支援・要介護高齢者の少なさから生活・居住分野でそれぞれ評価を上積みした。
ランキングとは別に、新型コロナ流行前後の仕事・学業の環境変化について地域住民へのアンケート調査も実施した。厳しい感染状況が続く23区ではコロナ前に1割前後だった「自宅で勤務・学習」の割合がコロナ後に2~4割と、他地域に比べて伸びが目立った。最も高いのは38.1%の港で、コロナ前から25.7ポイント増えた。「通勤・通学」の割合は23区いずれも減少した。