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工場の「健康」増進 金沢大と北菱電興が共同研究

金沢大学と電子機器製造の北菱電興(金沢市)が、ものづくりに携わる従業員の働きがいと生産性向上を両立させる共同研究に取り組んでいる。同僚に匿名で感謝を送り合ったり、ゲーム感覚で作業量を測定したりするツールを開発、同社が試験的に導入した。働きがいを高めて離職を減らし、生産効率化につなげる試みだ。

共同研究は北菱電興の提案で2020年度から始まった。マーケティングなどが専門の金間大介教授と研究室の学生有志が参加する。「製造現場に活気がないと、生産性が高まっていかない」(同社)という問題意識が背景にある。従業員の働きがいと生産性を高める発想で考えたのが2つのツールだ。

その1つが、出退勤の報告を活用し、匿名で感謝を送るツール「TAPPY」だ。パソコンなどを使った退勤時の報告の際、その日に感謝を伝えたい人をタップで選ぶ。次の出勤時に自分への感謝の数が分かる。開発に関わった金沢大の学生は「退勤時に感謝の相手を選択することで、ポジティブな感情で1日の仕事を締めくくることができると考えた」と話す。

2021年2月、金沢市内の工場内で試験的に導入した。1人1日あたり2、3人に感謝されるケースが多いという。感謝の数が増えてたまると、職場でイチゴをプレゼントするようにした。同社の担当者は「イチゴなど仕事以外の話題でコミュニケーションがとれる工夫にも取り組んでいる」としている。

働きがいを高める一環で開発したのが、作業のフィードバックのツール「FIBACK」だ。製造作業を補助する治具にセンサーを内蔵、自分の作業時間を記録し、すぐにモニターで表示する。現場への負担がなく、各人の作業量を測定でき、効率的な人員配置などに役立てる。

電子機器のコーティング工程に試験導入した。自身の作業時間がすぐにフィードバックされることで、繰り返しの作業でも達成感を得られやすくなったという。「1つの作業に、10秒を狙うなど、意図せずゲーム感覚を得ている人もいる」(同社の開発担当者)

2つのツールについて、金沢大の担当者は「工場の健康診断のようなもの。TAPPYであれば、コミュニケーションがどの程度、活性化されているか可視化できる」と指摘する。北菱電興は今後、関心を持つ北陸の製造事業者があれば連携し、2つのツールを活用し、従業員の働きがいと生産性向上につなげる。

(石黒和宏)

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