浜松工技センター、EV部品開発へ金属3Dプリンター

静岡県は研究機関の工業技術研究所浜松工業技術支援センター(浜松市)に金属3D(3次元)プリンターを導入し、2023年1月23日から提供を始める。県西部に集積する自動車関連の中小企業に電気自動車(EV)など次世代車向けの部品の開発などに使ってもらう狙い。提供に合わせて活用法を議論する産学官連携の協議会も立ち上げる。
浜松工業技術支援センターに導入したのはドイツのSLMソリューションズ製の金属3Dプリンター1台。3DCAD(コンピューターによる設計)データをもとに金属粉末にレーザー光を照射し一層ずつ重ねながら溶かして固める「積層造形」で、複雑な形状の部品などを造れる。試作に向き、金型よりも期間短縮やコスト低減につなげられる。
3Dプリンターでも普及が進んだ樹脂向けに比べてアルミやステンレス、チタンなど金属向けは数千万~1億円ほどと高価。大企業などを除き中小企業では導入が難しいため、浜松工業技術支援センターの設備を活用してもらう。
合わせて、設備の活用促進や技術普及を目指し「静岡県積層造形技術(AM)協議会」を23年1月23日に立ち上げる。金属3Dプリンターは次世代車関連では加工対象物の一体成型やEVでカギとなる放熱性に優れた部品の造形などに活用が見込まれるが、県内の産学官の会員による意見交換から新たな用途を見いだしたい考え。