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加賀友禅の工房、天然染料で製品挑む サクラやブドウ

石川県の伝統的工芸品、加賀友禅を手がける友禅空間工房久恒(金沢市)は天然染料を使った製品に取り組んでいる。北陸先端科学技術大学院大学(JAIST、石川県能美市)とサクラやブドウなどを原料にした染料を開発、スカーフを製品化したほか、伝統的な加賀五彩にも挑む。化学染料とは異なる色づかいが特徴で、環境への関心が高い消費者の販路開拓を狙う。

工房の代表、久恒俊治さんが近所のキクザクラを染料に活用できないかと考えたのが天然染料に取り組むきっかけだ。複合材料や高分子化学などが専門で天然染料のノウハウも持つJAISTの増田貴史講師に相談。4年ほど前にキクザクラを使ったピンク色染料を開発した。

草木染は天然染料に繊維を浸して煮込むのが一般的。ただ加賀友禅の場合、筆で色を染めるので加熱できない。そこで増田講師は室温で15秒程度で染まるように染料の原材料を工夫した。同工房では帯やスカーフなどに使った。その後、石川県産の高級ブドウ、ルビーロマンから薄いピンクの染料を作り、着物に活用した。

評判がよかったことから、加賀五彩の天然染料にも取り組むことにした。加賀友禅で使われる伝統的な色で、えんじ、藍、黄土、草、古代紫だ。増田講師の協力を得て3年以内の開発を目指す。

えんじはキクザクラやルビーロマン、草はヨモギ、黄土はキクザクラとユズ、古代紫は加賀野菜の金時草をそれぞれ使うことを計画する。久恒さんは「問題は藍。タデの葉で薄いブルーになるが、濃い色にできるかが難しい」と話す。5色と濃淡を組み合わせ、スカーフなど小物から製品化する考えだ。

協同組合加賀染振興協会によると、加賀友禅の生産額は1991年度の約200億円をピークに減少傾向にあり、近年は20億円程度に落ち込む。コロナ禍の2020年度は6億円余りに低迷し、厳しい状況にある。

久恒さんは「コロナ禍もあり、加賀友禅の需要は減っているが、今のうちに技術を高めるのが重要」としている。さまざまな土地の草木や農産物を使った染料に応用できれば、加賀友禅の販路拡大につなげることも狙う。

(石黒和宏)

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