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北陸鉄道の沿線自治体、経営支援策めぐり協議会 

金沢市と周辺市町は2022年度、北陸鉄道(金沢市)の鉄道路線のあり方などを話し合う協議会を設ける。少子高齢化や新型コロナウイルス禍で利用客が減少し、公的な支援がないと存続が困難となり、同社が協議の場の設置を求めていた。自治体側が必要な路線と判断すれば、具体的な支援のあり方を検討していく。

北陸鉄道の鉄道線は2路線ある。JR金沢駅に近い北鉄金沢駅と内灘駅(内灘町)をつなぐ浅野川線、金沢市中心部に近い野町駅と鶴来駅(白山市)を結ぶ石川線だ。東急線や京王線など首都圏で走った車両が現役で活躍し、金沢市と周辺市町の通勤通学の足となっている。

2路線を合わせた輸送人員はコロナ前は年300万人を超えていたが、20年度は211万人に落ち込んだ。21年度もそれほど回復していない。少子高齢化で利用客が減ったほか、コロナ禍で外出控えも影響する。主力のバスも厳しいことから同社の連結営業損益は20年度で34億円の赤字。21年度も赤字を見込む。バスの収益で鉄道を支えることも難しく、同社は沿線自治体に協議の場の設置を求めていた。

協議の場は地域公共交通活性化再生法に基づく法定協議会で、地域公共交通計画を策定する。計画の中で必要な鉄道路線と位置づけられれば、国も加わった手厚い支援が可能になる。金沢市は「住民の交通手段をどう確保するかという議論。幅広く検討する予定」としている。

北陸鉄道の2路線が必要となった場合、どのような形態で存続させるかが焦点となる。公的な支援がなければ慢性的な赤字となり、存続が難しい。運行と鉄道施設の保有を分ける「上下分離方式」の導入を含めて検討が進む見通しだ。

隣の福井県では自治体主導で鉄道が存続した例がある。京福電気鉄道が県内路線で2000年と01年に列車衝突事故を起こして運行停止となった際、代行バスが定時運行できず、通勤・通学に大きな影響が出た。「鉄道廃止は沿線住民の生活に大きな影響が出る」と、沿線自治体が出資して第三セクター、えちぜん鉄道(えち鉄、福井市)を設立し、路線を引き継いだ。

福井鉄道(福鉄、福井県越前市)は08年に親会社だった名古屋鉄道が経営から撤退。後ろ盾を失ったが、沿線自治体の支援で廃止を免れた。その後、自治体主導で利便性の向上にも取り組んだ。例えば、えち鉄と福鉄が16年から始めた相互直通運転。県と沿線自治体が低床車両用ホームの整備などを支援した。

交通問題に詳しい公立小松大学の高山純一教授は「鉄道など市町をまたがる公共交通では県の役割が重要になる。長野県は県主導で公共交通を考える協議会をつくったが、石川県も同様の取り組みが必要」と指摘する。

馳浩知事は知事選で訴えた政策の中に「地域公共交通を守るための支援」を掲げた。北陸鉄道の協議の場で、県がどの程度、前向きな姿勢で臨むかによってどんな支援がいつから始まるかが左右されそうだ。

(石黒和宏)

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