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石川県企業、副業人材で課題解決 県事業を活用

 

石川県の事業がきっかけとなり、県内の中小企業が大都市部の人材を副業の形で活用する例が広がっている。人材紹介事業者と連携し、販路開拓や人づくりといった課題解決に詳しい人材をマッチングする仕組み。新型コロナウイルス禍で業務のオンライン化が進み、副業を希望する人材が多いことも後押しする。

能登半島北部に立地する金物鍛造・販売会社、ふくべ鍛冶(能登町)。店の近くに包丁研ぎ宅配サービス「ポチスパ」の新しい拠点が完成した。同サービスを利用する顧客はネットで注文すると、梱包用の箱が届く。この箱で包丁を発送すると、刃先のかけ直し、さび取りなどの修理を経て約1週間後に戻ってくる仕組みだ。

同サービスのマーケティングなどを支えるのが首都圏在住の2人の副業人材。県の事業を通じて知り合い、2021年11月から活用している。干場健太朗社長は「副業の方から人員増強や能力拡大の提案も受けた。企業戦略まで提案いただけるのが外注とは異なる」と話す。ホームページの刷新にも尽力し、人手不足の中、22年2月以降、4人を採用することができたという。

副業を支援する県の事業は21年度だけ実施した。人材サービス会社、みらいワークス、JOINS(長野県白馬村)の2社と連携して実施、石川県内15社に計26人のマッチングした。県は費用の一部を負担した。同事業は22年3月に終了したが、ふくべ鍛冶のように4月以降も人材活用を継続するケースもある。

温浴施設やホテルを運営するテルメ金沢(金沢市)は22年1月、2人の副業人材の活用を始めた。コロナ禍で落ち込んだ集客の回復などを助言してもらうのが狙いだ。提案を受けて実現した一つが、顧客がモチベーションを高めるイベントなどを盛り込んだ「モチベーションカレンダー」だ。

副業の一人がアパレル業界出身で1、2年先をみすえた計画づくりが重要であるとの指摘があったという。山田健嗣社長は「社内で先々のイベントを企画し、それを皆が共有できるようになり、活気が出てきた」という。季節や行事などに応じたお湯や食事などのプランが増えている。

工作機械向け溶接部品を手がける旭ウエルテック(石川県白山市)は、ものづくりの現場を担う人材の育成を狙って副業人材を活用した。大手企業で人事労務部門の経験がある人に現場の従業員と面談してもらい、会社の課題などを話し合ってもらった。

山田裕樹社長は「話すと自分の考え方が整理される、ヒアリングが上手な方」と話す。「休みを増やしたい」という要望が多いことが分かり、22年から社内で生産改善の取り組みを強化。従業員から改善提案が増えるなどにもつながっているという。

コロナ禍で業務のオンライン化が進む一方、副業を解禁する企業も増えている。JOINSでは副業人材の登録が9000人を超えているという。同社の担当者は「さまざまな経験を持つ副業人材の活用は、企業にとって新たな気づきが期待できる点が外注とは異なる」としている。

(石黒和宏)

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