日医工の新体制 ファンドやメディパルHDから取締役
経営再建中の日医工が取締役会のメンバーを大幅に入れ替える。17日、3月9日に実施予定の役員人事を発表した。同社の第三者割当増資を引き受ける合同会社に出資する投資ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)、医薬品卸メディパルホールディングス(HD)などが取締役を派遣する。現体制から田村友一社長ら6人が退任し、新たに8人が加わる。

後発薬のサンド(東京・港)で社長を務めた岩本紳吾氏が社長に就任するほか、メディパルHDで副社長を務めている長福恭弘氏が社外取締役会長に就く。JWP陣営から3人が独立社外取締役に就任する。取締役監査等委員には厚生労働省出身で日本大学名誉教授の白神誠氏ら3人を起用する。
現体制の取締役では、生え抜きで営業本部長などを務めた三原修氏のほか、北陸銀行、三井住友銀行の出身者ら4人が残る。4人はいずれも22年に取締役に就任した。
退任するのは2000年から社長を務める田村氏のほか、医師で富山県議会議員の種部恭子氏ら。取締役監査等委員は全員が入れ替わる。
同社は国内での品質不正に加え、米子会社の業績が悪化して経営危機に陥り、22年5月に私的整理の一種である事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)を申請。同年12月に成立した。
北陸の金融関係者は「日医工は創業家出身である田村社長に、現場や部下の声が届きにくい体質だった」と指摘する。JWPやメディパルHDが主導する体制で企業風土を刷新し、コンプライアンス(法令順守)への意識を高めることが、再生への第一歩になる。
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