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高知の子ども食堂、弁当持ち帰りでも地域と絆

ボランティアで弁当を詰める井上詩音君㊧(高知県南国市の大篠子ども食堂)

新型コロナウイルスの影響で活動休止を余儀なくされる「子ども食堂」。JA高知県(高知市)が同県南国市で営む「大篠子ども食堂」は現在、弁当持ち帰りで子どもと触れ合う。子どもに限らず誰でも利用でき、コロナ禍でも地域住民の「寄り合いの場」を守る。現地を訪ねた。

月1回の開催日の12日午前10時過ぎ、JA高知県大篠支所(南国市)2階に行くとJA女性部の27人が調理と200食分の仕分けに大わらわだ。27人は早朝から立ちっぱなしで作業する。「おかずを8品作ったので小分けして弁当に詰めるのが大変」と窪田理佳さんは笑う。コロナが発生する前は2階を食堂にして、バイキング形式で供していた。

おかずは野菜のかき揚げやナスの煮物など野菜中心。JA組合員やスーパーから旬のものが無料で大量に提供される。

同食堂は2018年5月開始。「前年の近くの小学校の夏休み明け、ある子どもが痩せているのに気づいた。学校給食がないので、昼食を取っていないのではないかと女性部で話題になったのがきっかけ」(窪田さん)だった。JAだから食材は豊富。やがて支所周辺で暮らす大人や高齢者にも提供しようとなった。

だがコロナで不特定多数が集まるわけにはいかない。20年6月から弁当に切り替えた。

全国の子ども食堂もコロナで事情は同じ。NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(東京・新宿)が2月実施した開催状況のアンケートによると、回答した343団体のうち食堂サービスを続けるのは約1割。2割強は弁当のテークアウトと答えた。

女性部の弁当詰めの作業を見ていると、男子学生のエプロン姿に気づいた。高校3年生の井上詩音君だ。「ここのご飯がおいしくて、ボランティアで手伝うようになった」と話す。小学校校長も訪れ窪田さんらをねぎらう。支援の輪の広がりを実感する。

午前11時、支所の駐車場内で整理券配布が始まる。既に老若男女十数人が間隔を取って並んでおり、受付で名前、希望個数を記入しようとすると、受付女性がそれをやんわり遮り「いつもの人数だよね」と言い整理券を渡す光景も。「きょうはあのおばあちゃんまだ来ない」と心配する親子連れも見られた。

弁当は高校生まで無料、大人は200円。女性部は弁当の受け渡しをいつも午後2時30分まで予定する。この日は午後0時30分頃に200食がなくなった。

子ども食堂は子どもの貧困対策から始まった。だが「フリーマーケットで新品に近い衣類が出されることがある。衣類を売って生活費を稼ぐなど、見えない貧困が広がっている証拠では」と大篠子ども食堂の女性らはみている。「ここに来れば温かいご飯がある。運営側と利用者側の気持ちも温かい。地域のつながりのある居場所として維持したい」。記者も弁当を食べた。おいしくないわけがない。

(保田井建)

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