/

栃木・下野市、AIで配車 デマンドタクシー便利に

「おでかけ号」車内のタブレット端末で最適ルートを受信した運転手(13日、栃木県下野市)

栃木県下野市は4月、乗り合い型デマンド交通の運行方式を大幅に見直した。人工知能(AI)を使ったタクシー配車システムを導入したほか、予約の時間制限と市役所での乗り継ぎを廃止した。同市では公共交通機関の本数も限られており、人口減少と高齢化が進む。新技術と柔軟な仕組みを生かして住民の利便性を高める。

「ご自宅から病院までですね」。繁忙時間帯の午後1時ごろ、下野市の石橋タクシーが運行する「おでかけ号」のコールセンターで呼び出し音が響いた。運行方法を見直した4月1日から15日までの間に659人が利用。出だしは順調だ。1日に開設した専用ウェブサイトでは24時間予約を受け付け、高齢者らは引き続き電話でも予約できる。

乗車予約を受けてAIが最適ルートを瞬時に計算する(13日、栃木県下野市の石橋タクシーの「おでかけ号」コールセンター)

最大の変更点がスタートアップの未来シェア(北海道函館市)のAI配車システム「SAVS」の導入だ。ウェブで利用申し込みがあると、AIが車両の移動状況に合わせて最適ルートを計算。利用者にウェブ画面を通じて乗車予定時刻と目的地への到着予定時刻を知らせる。これまで岡山県久米南町など全国4自治体で導入実績があり、4月には下野市のほか、埼玉県小鹿野町と同県横瀬町が導入した。

下野市では建設コンサルタントの日本工営が公共交通網の策定支援事業を受託し、民間企業を巻き込んで見直し作業を進めた。同市がデマンド交通を始めたのは11年だが、乗車1時間前までの電話予約と旧町(南河内町、石橋町、国分寺町)ごとにエリアの移動制限があった。

見直しにあたった日本工営交通都市部の大皿陽康課長補佐は「AI配車システムによる、エリア一体型のリアルタイム予約でも運行効率が落ちないことを確認した」と話す。そのうえで「利便性と採算性の両立が課題。今後3年間の利用状況を見て適切な車両数や運賃を探っていく」とする。

3月までは最大9人乗り合いのワゴン型車両で運行していたが、1時間あたり約3.2人というこれまでの利用実績を踏まえて、4月からは最大4人乗りのセダン型に変えた。市内全域一律料金で、中学生以上は300円、小学生200円、未就学児は無料だ。

デマンド交通「おでかけ号」の車両(13日、栃木県下野市)

導入後の4月1日から19日までで46人が利用登録した。同市安全安心課消費生活グループの小野洋一グループリーダーは「未就学児のいる家庭や20~30代の若者の申し込みも増えている」と話す。同市は利用登録を2025年度までに全住民の約6%にあたる4000人とする目標だ。

同市では路線バスのほか、上三川町、壬生町の1市2町をつなぐ広域連携バス「ゆうがおバス」が走るが、本数は1時間1本程度。車がないと通院や買い物といった日常の移動にも時間を要する。石橋タクシーの荒川弘幸社長は「地域の足があれば、高齢者が免許返納しても生活できる。外出で健康寿命が延びたり、事故が減ったりする効果が期待できる」と話す。

栃木県によると、デマンド交通は現在県内20市町で実施しているが、AIを活用した事例は県内初だ。県交通政策課の牛久益雄総括補佐は「下野市の事例でデマンド交通の運行を最適化できるのであれば、関係自治体と情報共有して広がっていくことを期待する」としている。

(宇都宮支局 鈴木菜月)

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

関連企業・業界

企業:
業界:

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン