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栃木のツナグ、アスリートを経営者に 楢崎選手が新商品

事業承継や経営支援のTSUNAGU(ツナグ、宇都宮市)がアスリート向けの経営者育成プログラムを始めた。アスリートは実際に事業に参画しながらビジネススキルを身につけ、引退後のキャリアを開発する。第1弾としてスポーツクライミング選手の楢崎智亜氏がクライミング用のチョーク(滑り止め)開発を監修した。

ツナグは経営課題を抱える企業を他企業と結びつけ、新事業創出などを後押ししている。アスリート向けプログラムでは、ツナグが相談を受けたアスリートの持ち味を引き出せる事業を検討し、初歩から経営を学ぶ。事業を通じて、起業の手法や経営者としての考え方などを身につけてもらう。

楢崎氏の参加した事業は捨てられていた卵の殻を再利用したクライミング用チョークの開発だ。食品工場向けに鶏卵を販売している伊藤鶏卵(栃木県上三川町)が廃棄していた卵殻を有効活用する。同社は1日に2トンの卵殻を廃棄物として有料で処分しており、ゴミ削減にもつなげる。

宇都宮市出身の楢崎氏は共通の知人を介してツナグを知り、プログラムに参画した。楢崎氏は「もともとチョークなどクライミングに関する製品づくりに関心があった」という。折しもツナグに伊藤鶏卵から卵殻の有効活用に関する相談が寄せられており、チョークの開発につながった。

チョークの主成分は炭酸マグネシウムで、卵殻の粉末を混ぜて質感を調整することが一般的だ。製造と販売を担うアクトビ(栃木県鹿沼市)の安生智基社長は「卵殻には湿気を吸収する効果があり、卵殻を多く混ぜたチョークは手の湿り気が多い日本人に向いている」と話す。

楢崎氏は開発に携わり、試作品を練習で使いながら使い心地を確かめた。「手の湿り具合は人によって違い、必要とするチョークは異なる。粗さなどを調整し、より多くの人に使ってもらえる製品を目指した」といい、最小15ナノ(ナノは10億分の1)メートルの超微粒子に仕上げた。

製品名は「ワイズチョーク」。24日発売予定で、価格は330グラム入り1900円(税抜き)。楢崎氏は「今後もより滑らず、持続力が長く持つチョークを開発していきたい」と意気込む。楢崎氏の名前の「智」から統一ブランド名を「WISE」(ワイズ)とし、今後も各種商品を展開する予定だ。

ツナグでは各種スポーツ協会や選手会など選手のセカンドキャリア支援をしている団体に出向き、コンサルプログラムの周知活動をしている。アスリートと長期契約を結び、経営に関わる実践を通じて経営者に育てる。製品開発などに一部参画するほか、アスリートの希望に応じて起業支援もする。

ツナグは後継者がいない企業から事業承継の相談も受けている。経営ノウハウを身につけたアスリートがその会社を買収し、経営者になることも可能だ。

アスリートにとって引退後の備えは欠かせない。競技によるが20代や30代で引退する選手が多く、社会人としては若い年齢でセカンドキャリアに移行する。ツナグの斎藤航社長は「セカンドキャリアを組み立てるのは引退後では遅い。競技経験のなかで磨いた知見をビジネスに生かしてほしい」と説明。さらに社会課題の解決など、経営者としての姿勢も身につけてほしいという。

(宇都宮支局 桜井豪)

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