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秋田県仙北市、防災に生かすデジタル技術 住民も協力

東北6県 気になる現場

秋田県仙北市は実に広大だ。面積は東京都の半分ほどもあり、しかもその8割を森林地帯が占める。予算や職員数が限られる地方の自治体が被災時、全容を把握するのは容易ではない。だからこそ普段からの備えが必要で、デジタル技術活用や住民の協力で早期の人命救助、復旧につなげられる手段を模索する。

市山間部の田沢湖高原スキー場跡地で7日、ドローンを使った実証実験が行われた。市が設定した区域内の斜面を使い、土砂崩れが起きた現場と見立てた。

地域には災害現場でドローンを操縦して状況を把握する専門的な知識、技術を持つ事業者がいない。このため、ホビー用ドローンを持つ市民に協力を依頼した。市民が空撮した画像で被災状況を確認できるよう、操縦法や効率的な撮影手法を探る実験だった。

実験したのは、あらゆるモノがネットにつながるIoTのシステムを開発するウフル(東京・港)、ソフトバンク、市の3社・団体でつくる仙北市スマートシティ推進コンソーシアムだ。

無線操縦装置の愛好家メンバーら3人が実験に協力した。福島県南相馬市に研究開発拠点を置くテラ・ラボ(愛知県春日井市)の酒井仁・航空政策課長から、3人は被災地域を空撮する場合の自動航行の操作法などの助言を受けた。

加えて、空撮した多くの画像を効率よく重ね合わせ、傾きやゆがみのない精細な地図状の画像にする方法も探った。災害時に市民に協力を求めるため、ドローンを操縦する共通の運用マニュアルを今年度末までにまとめる計画だ。

市は2021年度に国土交通省のスマートシティモデルプロジェクトに採択された。この中でも「市民の暮らしで最も優先度が高い防災に焦点を絞った」と高橋康・企画政策課課長補佐。IoTや人工知能(AI)を活用し、広範な地域の被災状況などを把握できる防災情報プラットフォームづくりを進める。ドローン実験もプロジェクトの一環だ。

市は昨年度も主に3つの実証実験を行った。1つ目は河川にカメラやセンサーを設置し、集中豪雨などの際に水位の変化を自動計測して避難情報の呼びかけに役立てるものだった。2つ目は避難所でAIによる顔認証技術を用い、個人の特定や定員管理を目指した。

そしてもう一つは、豪雪地帯ならではの実験だった。除雪車に全地球測位システム(GPS)を搭載。位置情報などを確認し、積雪状況を見極め効率的に除雪する連絡体制構築を狙った。

秋田県は災害が比較的少ない地域だが、8月初旬の大雨で日本海側を中心に畑が浸水するなどの被害に見舞われた。気候変動の影響は大きく、デジタル技術を防災に生かす取り組みの必要性は今後増してくる。

(磯貝守也)

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